「裏金と宗教」を超えるパワーとは?
紀藤 その点、やっぱり統一教会と癒着していた議員は、ちゃんと出直してくれないと困るんですよね。出直してくれるというのはどういうことかというと、きちんと全部情報公開して、禊 ぎ選挙を受けるんだったらいいですよ。だけど、そうではないですから。正直に「〇〇さんから言われて仕方なくやった。二度としない」というところまで踏み込んでくれればいいです。それは人間には弱いところがあるから。私は弱者救済をしているので、「人間が嘘をつく」というのも弱い心だと思っているんですよね。
でも、その弱い心をプライドで隠して開き直ったり、嘘をつくというのは、もう絶対に正義的には許してはいけないと思っているんです。弱い心は弱い心で、「言われたから仕方がなくやりました」だったら、まだ反省して出直すという意味があるけれど、現時点でも、議員の中に正直に話さない議員もいて、私は信頼できないというふうに思っています。そこは今回の選挙で、やはりきちんと総括しないといけないのではないか。
だから、皆さん方、今日来ていただいた方々が、「つながればパワー」ではないけど、一人ひとりがつながっていくことがとても重要で、それが票数に変わり……、自民党の先生はみんな言ってらっしゃるんですかね、「一人が100票持ってこい」とか。それもまさに「つながればパワー」ですけど、統一教会はやはり、ぎりぎりの選挙区においてはすごく重要なパワーを生むんですよね。
泉 そうです。
紀藤 特に地方議会から先に浸透が始まったのは、それが理由ですよね。地方議会って、1票差でも落ちるんですから。1票差で通っている人、たくさんいますから。数十票があればひっくり返るわけですから、統一教会の持っている票は非常に重要です。同じように国政でも重要になってくるのではないかと思うので、多分今回の選挙でも、統一教会は動くと思います。
泉 今の話を聞いたなかで思うんですけど、自分も選挙を国会議員で2回、市長で4回、計6回もやり、石井さんの選挙も手伝い、20代からずっと選挙漬けの人生を歩んできた者としては、綺麗事を言うと、選挙というのは、「1票1票の積み重ね」ですし、もちろん自分はそういうスタンスでやってきました。けれど実際、選挙を多数経験した者としては、たしかに「必要なのはカネと人」なんですね。いくら綺麗事を言っても、「金を渡さないと人は動かない」という現実はあり、人が動かない以上、「本気で動いてくれる人が欲しい」になってくるんですよ。
そうすると、お金をくれる企業とか、裏金をくれるところが魅力的なんです。加えて、宗教団体は、票を持っているだけじゃないんです。本気で選挙運動やるんですよ。選挙における宗教団体というのは、ものすごい頼りになる。宗教団体の数十人が本気で選挙運動するだけでも、選挙区の状態が変わるんですよね。だから、統一教会は大事にされるのであって、そこのリアリティーというものは私もかなり感じています。
いや、自分はそっち側じゃないですよ。肯定はしていません。しかしリアリティーとして、やはり国会議員になる者が金と宗教に寄りかかる気持ちはある。宗教の怖さというのは、人数じゃなくてパワーなんですよ。もう完全に確信犯的に本気で選挙できる人、普通いないですから。普通の政党の党員では、友人に電話かけられる人もいないし、選挙を戦う者からすると、裏金をくれる人と宗教団体というのは宝なんですよね、本音は。
だからこそ、それを乗り越えるだけの、「つながればパワー」じゃないけど、今日ここに集まっている私たちの力が、そういった裏金や宗教団体を超えるぐらいのパワーを持っていく必要があるというのが、私の感想かな。
今西 ターニャさんは、石井先生の秘書もされていたし、それ以外の議員さんの秘書もしておられて、宗教団体と政治の関係はどう見ていますか。
石井 父が言っていたのは、宗教の末端の方と言うと語弊がありますけど、一般の信者の方というのはすごく真面目なんだと。「彼らは真面目なんだ。彼らは悪くないんだ。それを利用する側が問題なんだ」というふうには言っていました。地方議員選挙では、そうした方々が組織的に運動している様子も目の当たりにしたことがあります。