首相の旧派閥にパーティー収入不記載報道

そんな中で、石破氏が率いていた派閥「水月会」(旧石破派)にも裏金疑惑が浮上している。

日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が10月6日に出す日曜版では旧石破派の政治資金パーティーの収入が、2021年までの6年間にわたって計140万円分、不記載になっていたとしており、裏金の疑いがあるとネットで先んじて特報しているのだ。

また、10月4日の朝日新聞朝刊では、その一部を追いかける形で「旧石破派も不記載か」と1面に記事を掲載。

2019年から2021年に開かれた政治資金パーティーの収入が計80万円分、記載されていない疑いがあると報じている。

永田町関係者は「自民党を揺るがした裏金問題も、もともと『しんぶん赤旗』のスクープが端緒になっており、旧石破派の不記載も大きな問題になるかもしれない。

まだ裏金だと決まったわけではなく、事務手続き上の記載ミスの可能性もあるが、もし旧安倍派のように派閥から議員へのキックバックや、議員が派閥に政治資金を納める前の中抜きが生じていたら大変なことになる」と指摘する。

国会議事堂
国会議事堂

10月4日の官房長官記者会見では不記載に関する質問も飛んだが、林芳正官房長官は「石破総理がただちに経理を担当していた者に指示を出し、事実関係を確認させている」と述べるにとどめた。

今後、石破首相自身からどのような説明があるのかが注目される。

裏金議員に対して厳しい対応を取るどころか、自身の裏金疑惑まで浮上してしまった石破首相。

報道各社の最新の世論調査による石破政権の内閣支持率は読売新聞51%、朝日新聞46%、毎日新聞46%。

岸田文雄政権の末期の支持率からは大幅に回復したものの、歴代首相の政権発足時に比べると低い数字になっており、早くもこれからの政権運営や衆院選に暗雲が立ち込めている。

石破首相は所信表明演説で、本人がたびたび引用する、渡辺美智雄元副総理の「政治家の仕事は勇気と真心をもって真実を語ることだ」という言葉を取り上げたが、裏金問題への対応を見ている限り、残念ながら勇気も真心も感じることができない。

野党議員は「政権の方針で『5つの守る』を取り上げているが、そもそも本人が総裁選の約束を破っているじゃないか」と皮肉った。

先行きが不安な石破首相(本人Facebookより)
先行きが不安な石破首相(本人Facebookより)
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総裁選で勇ましく語った言葉からの変節ぶりはすでに様々な形で指摘されており、石破首相の実態はすでに国民から見破られつつある。

このまま、従来の自民党の価値観に基づく事なかれ主義や党内融和を優先し、石破カラーを出すことなく、解散総選挙に突入していくのか。

選挙に向けて国会が荒れ模様となる中、石破政権の行方が注目されている。

取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班