立候補者乱立は高市氏に追い風? 

このような前例を見ると、組織づくりが苦手な高市氏は総裁選でも苦戦するとみられる。

ただ、今回は大乱立であるがゆえに、これまでの総裁選とは違う様相となることも想定されている。というのも、総裁選に立候補するためには推薦人20人が必要であるため、候補者が増えれば増えるほど、議員票の浮動票は少なくなる。

もし仮に10人が立候補したら、推薦人200人と候補者10人は固定票となるため、議員票は残る157票を争うことに。

その票も、各候補に分散していくことになるため、前回とは打って変わって、議員票の差を党員票によって逆転する可能性もあるわけだ。つまり、候補者が乱立すればするほど、自民党支持者からの人気が高い高市氏が有利ということになる。

もちろん、冒頭で紹介した世論調査では進次郎氏が知名度の影響もあってトップであるほか、若手中堅が擁立した小林氏がこれから選挙戦の中で注目されて支持を伸ばしていくかもしれない。

小泉進次郎氏(本人Facebookより)
小泉進次郎氏(本人Facebookより)
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また、決選投票は前回と同じく党員票が都道府県連票に置き換わってしまうため、議員票も重要であることは言うまでもない。

ただ、大乱立や派閥解消の中で党員票の重みはこれまでの自民党総裁選とは比べものにならないほどに増しており、その結果は国会議員による党内政局でコントロールできない可能性も出てきている。

つまり、党内の権力闘争の構図よりも、党員からの印象を左右する論戦内容のほうが重要になるかもしれないのだ。

その中で、いったい誰が総理総裁の座を獲得するのか。高市氏をはじめ、各候補者がまさに政治家としての真価を問われることになる。

取材・文/宮原健太
集英社オンライン編集部ニュース班