非常に低い老犬ホームの認知度

老老介護――。人間社会では、高齢者同士が互いに介護状態で生活を送らざるを得ない現状が社会問題と化している。その裏では、高齢の飼い主と高齢のペットがともに生活を送らざるを得ない、動物と人間の老老介護問題も深刻だ。

一般社団法人ペットフード協会の「令和5年 全国犬猫飼育実態調査」で犬の飼育状況を年代別に見てみると、2023年は60代の飼い主が10.9%、70代が8.2%もいることがわかる。

また、こうした高齢の飼い主が、老犬・老猫ホームという施設の存在をあまり認知していないというデータもある。

男女別に見ると、老犬・老猫ホームを認知している男性は60代でわずか2.3%、70代では6.9%、女性は60代が22.9%、70代は5.6%と、認知度は決して高いとはいえないのが現状だ。

老犬ホームも手がけるTHEケネルズ東京(東京都目黒区)
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そのため、実際に老犬・老猫ホームを利用している60~70代の男性は0%、女性は60代が0.8%、70代は0%と極めて低い。ペットとの老老介護の問題を改善するには、まず老犬ホームの存在を高齢者に広く認知してもらうことも必要だろう。

「ペットホテルには気軽に預けることができます。例えば『これからハワイに行くから、お姉さんと楽しく留守番しててね』というように明るい気持ちで利用される方が多いです。

一方で老犬ホームに預けるとなると、『長期で離れて暮らすことになるので』と、明るい気持ちになれないこともあります」(老犬ホームも手がける施設「THEケネルズ東京」責任者、池貝英司さん)