腹いっぱい食えていないと、それが顔に出る
<人生相談vol.9>
人相が悪いと言われます。そのせいか、外国人に道を尋ねられることもないし、電車で自分の隣の席が空いていても誰も寄ってきません。久保田さんも人相が悪くて悩んだことはありますか?(マサ・32歳・男性)
ありますよ、そりゃあ。もともとブサイクだし、直接話したこともない人から、見た目だけで「変な人」「怖そう」って散々言われてきましたよ。でもね、「実は俺、ほかの人よりも優しいねんで」って心の中でずっと思ってました。
でも、人相が悪いって自分でわかってるんだったら、1個だけでいいから、「自分のここは素晴らしい」って思えるところを見つけたほうがいい。たとえば、「人相が悪くても、俺はおもしろい」って思うとかね。
見た目が悪くて何が悪いんですか。顔に傷があってもいい。骨折していてもいい。「それでも、俺は他人よりいいところがあるんだ」って思えるなら別にいいんですよ。
――そのほかに相談者の方が実践できるようなことはありますか?
まずは鏡の前で笑ってみてください。鏡で自分の顔を見て、「ああ、人相が悪いな」と思ったら、笑顔をつくるんですよ。口角を上げて、歯を見せて笑ってみる。人相とのギャップがあって余計にいいじゃないですか。笑った顔はね、みんな素敵なんです。
――人相が悪いといわれる人は、笑うのが恥ずかしかったりするんでしょうね。
恥ずかしさなんかどうでもいいんです。恥をさらさないと。人相が悪いのに、愛想なく、じっとしているのが大きな間違い。そんなやつが喋ったって、何もおもしろくないでしょう。自分が人に笑顔を見せないから、周りからも笑顔をもらえない無愛想な人生が続くんです。
僕みたいに人相が悪くてもね、スベッたときに「あ、スベってもうた!ごめん!」ってひょうきんに言ったら、きっと愛されるはずですよ。
――売れる前の久保田さんと、今の久保田さん。やはり人相は変わったんでしょうね。
そりゃ変わるわ。昔の僕を見てください。世の中に対して斜に構えて、苦虫をつぶしたような顔をしてましたよ。嫌味、恨み、ねたみ、そねみ……そういうものにまみれた世界にいるやつの顔です。でも、M-1で優勝したら変わりました。笑顔が増えました。
――それは芸人としての才能を認められたから?
それもあります。でも、それ以上に裕福であることって大切なんだなと思いましたね。貧乏人より金持ちのほうがよく笑います。やっぱり、僕も貧しいころはいいメシが食えなかった。腹いっぱい食えていないと、それが顔に出るんです。
いいものを食べたら、人は笑顔になります。「食」という字は「人」が「良」いって書きますよね。だから、いい食事は人をよくするんです。
聞き手・撮影/キンマサタカ