「私は醜い・・・」今も続くトラウマ

ーー虐待はその後も続いたのですか。

遠野 中学生に上がった頃には、私に力もついてきたから、言葉による虐待になりましたね。「醜い」とか。「身体醜形恐怖症」っていうんですけど、私は今も、お化粧するとき小さい鏡でしか自分の顔を見られなくて。リハビリはしてるんですけど、自分の顔が気持ち悪くて…。モンスターみたいに見えるんです。

ーーおきれいなのに。

遠野 最近は「きれいですね」って言われたら「ありがとうございます」って言うように気をつけているんですけど、心の中では「本当はブスだと思ってるんでしょ。気持ち悪いと思ってるんでしょ。化け物みたいだと思ってるんでしょ」って思ってます。それぐらい「あんたは醜い」って、ずーっと言われ続けてきたので卑屈になっちゃうんです。

「愛されたことがないから、人を愛する気持ちがわからない」親の虐待が人生に及ぼす影響の大きさを遠野なぎこさんに聞く_3

ーーそういう辛い日々の中で、毎日どんなことを考えていらっしゃったんですか。

遠野 これがね…愛してほしいって思っていたんですよね。憎いとか嫌いとか、そういうことは一度も思わなかった。一度でいいから抱きしめてほしいなって、それしか思わなかったです。

ーー抱きしめられた記憶がないんですか。

遠野(首を横に振る)だからね、虐待って本当に罪深いですよね。この歳になっても泣けてきてしまうんですもんね。

ーー愛されたかったんですね。

遠野 そう。だから人を愛したことが今までなくて、人間を愛するという気持ちがわからないんですよね、今も。愛されたことがないって、愛する気持ちがわからないということなんだなって。愛し方がわからないということになるんだなっていう。それって人の人生を左右することだから、母のしたことは罪深いなと思いますね。