失言・スキャンダル予備軍の入閣も?

一方、内閣改造でリスクとなるのが、大臣としての資質や能力に欠けるものの、期数を重ねたため派閥の推薦で入閣する新閣僚の失言やスキャンダルだ。閣僚経験のある人材を登用すれば、安定感は増すものの、大臣待機組を処遇しなければ、党内で不満がたまる。

そのため、内閣改造のたびに期数を重ねた待機組が入閣してきたが、彼らの失言やスキャンダルが政権の足を引っ張ることも珍しくない。

「“汚染水発言”で炎上した野村哲郎農水相は、参院4回生で大臣ポストが回ってきましたが、本人は農協出身で農水一筋で来たため、『農水相以外やらない!』と強く主張。当初はほかのポストが検討されていましたが、所属する茂木派が官邸に頼み込んで交渉し、何とか農水相ポストに就くことができました。それなのに、処理水問題で不用意な発言をし、官邸は大激怒。交代が既定路線です」(全国紙政治部記者)

第90回日本ダービーの表彰式に出席する野村哲郎農水相(写真右、本人Facebookより)
第90回日本ダービーの表彰式に出席する野村哲郎農水相(写真右、本人Facebookより)
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派閥への配慮をめぐっては、安倍派の処遇も焦点だ。

安倍派の議員からは

「前回の改造では、安倍氏の死去直後で動揺する安倍派に配慮した総理が、官房長官や経産相、政調会長など重要ポストをあてがったが、今回は安倍派の『集団指導体制』が決まって初の改造。松野博一氏や萩生田光一氏は重要ポストで引き続き起用されるだろうが、会長不在の派閥の大臣待機組にまで、ポストが十分に回ってくるか心配だ」との声も上がる。

かつて、首相になってやりたいことを聞かれ「人事」と答えていたという岸田首相。「味方」をつくり、最も重要視している来年秋の総裁選再選を実現できるか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班