お尻を触られたり、いきなりビンタをされたことも
――これまで、具体的にどんな苦労を経験したんでしょう。
以前のホームでは、お尻をポンっと触られたり、お風呂介助のときに「大きくなっちゃう」とか言われたり、いわゆるセクハラみたいなことがありました。でも、そんなのは全然気になりません。そう思えるようになったのもきっかけがあって。
――といいますと?
おばあちゃんのお食事介助中、スプーンが落ちそうだったからサッと取ろうとしたんです。
そうしたら、私の顔が目の前に急に現れてびっくりしたのか、おばあちゃんからいきなりパチーンとビンタをされて……。
すごくショックだったんですが、先輩に聞いたら「驚いて叩いただけで深い意味はないと思うよ」と言うんです。それ以来、そうしたことがあまり気にならなくなりました。
――おじいちゃんは目の前にお尻があったから触っただけ、と。
はい(笑)。けれどそういった高齢者をご家族だけで見るのは本当に大変です。
入居者のご家族が「私、ここにお母さんが入ってくれたおかげで幸せなの」と感謝してくださるんです。家にいたら「さっさと寝てくれ」と思うところを、ホームに入れてるからこそ「お母さん、今ごろどうしてるかな」と心配できることが幸せだって聞いて、本当に、介護職は大事な仕事だと思ったんです。
――去年11月、夫が老老介護の末に車椅子の妻を海に突き落とすという痛ましい事件がありました。これも介護の手を借りていたら起きなかったかもしれない、と思うと、いたたまれませんよね。
私たちは介護する方ご本人だけでなく、そのご家族との連携やコミュニケーションがとても大事です。
支援者の中には「介護を自分でやらないといけない」という強いこだわりを持つ方もいます。そういう方に対して内に秘めた思いに耳を傾けることが大事だと思います。
――村上さんはやりがいを感じているかと思いますが、介護職の低賃金問題は長く議論されています。2022年2月に介護士や保育士を対象に月額9000円という賃上げが行われましたが、物価高騰が続くなか、自身の賃金への満足度はいかがでしょうか。
私はずっとパートの立場なので、給料はどんなにがんばっても月給20〜25万円です。社員の方ですら、よくて手取り30万円ぐらいだと思います。
幸い、グラドル時代のファンの方がいてくれているので、動画配信などでお小遣い稼ぎをして何とか不足なく生活できています。