平成のエンタメは、とにかくめちゃくちゃ元気だった
——おふたりにとって、平成はどんな時代でしたか?
眉月 私は昭和生まれなんですけれど、昭和の記憶はほとんどない世代です。だから令和としか比較できないのですが、平成というと「あらゆるエンタメが元気だった時代」だったという印象があります。特に90年代は、漫画もアニメもゲームも音楽も、とにかく勢いがありました。
サンカクヘッド あの頃って、みんなが同じような作品にふれて、同じように夢中になっていましたよね。テレビもまだまだ元気で、学校で「昨日の『ウリナリ』見た!?」と盛り上がったり。あれって、なんだったんでしょう。
眉月 やっぱりインターネットがなかったのが大きいのかな。90年代って、本格的にインターネットが普及する前の、最後の時代だったわけじゃないですか。
サンカクヘッド たしかに。あの頃は、情報収集っていうと雑誌でしたよね。
眉月 だからみんな今よりもずっと本屋に行っていたし。それこそ、出版業界も今よりずっと元気だったんじゃないですか?
大熊 「週刊少年ジャンプ」が最大発行部数を記録したのが、たしか1994年ですね。
ガモウひろし先生のサービス精神を、いまもお手本に(サンカクヘッド)
——サンカクヘッド先生は、その頃は小学生くらいですか。
サンカクヘッド 僕は1986年生まれなので、小学校2年生くらいですかね。アニメで『ドラゴンボール』を見たりしていましたが、「(週刊少年)ジャンプ」を読むようになったのは、もう少しあとで、つの丸先生の『(みどりの)マキバオー』とかが大好きでした。それと実はガモウひろし先生の『(とっても!)ラッキーマン』にすごく影響を受けています。
——どんなところに影響を受けたのでしょう?
サンカクヘッド 『ラッキーマン』って、画面の手前にいるキャラクターが会話としているときに、その奥でまた別のキャラクターたちが会話をしていたりするんです。吹き出しじゃなくて、手書きの小さな文字で。一つのコマのなかに、ふたつのストーリーが展開されているというか。それって、つまり読者へのサービス精神だと僕は解釈していて。そういうところにすごく影響を受けました。
眉月 矢沢あい先生とかにも、そういうところがありますよね。ちなみに書き文字は私もよく使います。
サンカクヘッド 僕もよくやるんですが、昔から文字を小さく書いちゃう癖があって。雑誌だとまだいいんですが、単行本だとさすがに小さすぎるかなと最近悩んでます……。
眉月 (『平成少年ダン』の単行本を開いて)ホントだ! これはもう少しQ数(註:文字の大きさ)を上げた方がいいんじゃないですか(笑)。
サンカクヘッド やっぱりそうですかね(笑)。これからはもう少し大きく書こうと思います。