怒りに振り回されずエネルギーに変えて闘った

『最強の85才』というタイトルだけ見ると、とにかく強いスーパーウーマンのように思えますが、実際のルースははにかむように笑うところがとてもチャーミング。料理はちょっと苦手というところがほほえましく、魅力あふれる人です。もともとは内気で控えめな人だったようですが、あのパワーはどこから湧いてきたのでしょうか。

ルースが母から繰り返し言われた教えのひとつに“淑女であれ”というものがあります。これは女性らしくしなさいという意味ではなく、怒りのような不毛な感情に流されてはいけないという教えで、ルースは怒りに流されそうなときは、いつも母の教えを思い出していたそう。

怒りをパワーに変えて闘った、偉大な女性の強さに学ぶ『RBG 最強の85才』_c
ロイター/アフロ
ルースは2020年9月に87歳で逝去した

弱者の気持ちが理解できる思慮深さと、譲れないことに対しては断固として闘う精神力、それを支える家族の愛。そして、怒りをエネルギーに変える冷静さを併せ持っているところが、ルースの強さに繋がっているのだなと感じました。

ヨガはポーズによって体力や集中力、柔軟性を高めることももちろん重要ですが、そもそもは怒りや不安、恐れなどの感情に振り回されずに生きるための“心の学問”です。優しさとは強さ。ルースのように怒りをエネルギーに変え、自分の役割に真摯に向き合っていきたいなと改めて思いました。


ルースがはじめて男女差別について戦った裁判を描いた映画『ビリーブ 未来への大逆転』(2018)では、若かりし頃のRBGの姿をフェリシティ・ジョーンズ主演で丁寧に描いています。こちらにもちらりと本人が出演していますので探してみてください。