「めっちゃブスやんか!」
20代になると、テレビのバラエティー番組にも出演するようになる。身長が高いことをより目立たせるためにポニーテールにし、“おバカ”キャラでいることを徹底した。「こういう自分が求められている」と勝手に感じ、現実とのギャップに悩んだ。
「メイクはとにかく、人間味がなければないほどいいと思っていました。肌はマットで、まつ毛をとにかく長くして、大きいカラコンを入れて。目の粘膜まで真っ黒にするから、鼻をかむと鼻水にアイライナーの黒が混ざっていたり……。お人形さんみたいになりたかったですね」
ガリガリに細くなければダメ。目は大きくないとダメ。流行りの顔や体型から少しでも外れると、「自分はダメだ」と感じていた。
「私は目が離れているし、体も縦には長いけど骨格はしっかりしている。『デニムのこのサイズが入らないからデブだ』みたいに思い込んでいました。流行とか自分の理想に当てはまっていない自分が、ずっとコンプレックスでしたね」
しかしプロレスラーになってから、見た目に対する意識に変化が生じた。
「いつまでもお人形さんではいられなくなったんです。試合中は360°の方向から見られるので、あとから写真を見て『めっちゃブスやんか!』と思ったり。そういう自分を受け入れるしかないなと思うと、もう見慣れましたね。顔のバランスとかパーツの大きさはまったく気にならなくなりました」
普段からウォータープルーフのメイクアイテムを多く使っているため、試合で特別なメイクをすることはあまりないが、こだわりはある。
「真っ赤なリップは、いくら流行っていても塗らないようにしています。似合わないというのもあるんですけど、赤い口紅が流れるとお化けみたいになってしまう。あとツヤツヤのグロスは、毛が顔につくから避けてますね。肌は、マットにしてたら顔面を蹴られたときにファンデーションが削れたことがあって(笑)。いまは艶肌を意識しています。仕上げはCLARINSのフィニッシングミスト。これでかなり落ちにくくなるんです」
(後編に続く)
撮影/林ユバ
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