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山上被告が抱えていた問題は「他人事ではない」

「親の寄付額は4000万円以上」「家は宗教ハウス」・・・長井秀和が今だから語れる創価学会の「宗教2世問題」_1
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――今日はご自身の経験をお話しいただけたらと思っております。今、宗教2世で苦しんでいる方がたくさんいらっしゃるので。

間違いない。

――宗教2世が注目されたきっかけのひとつが、山上徹也被告が安倍晋三元総理大臣を銃撃したことでしたが、山上被告に対してはどういう思いがありますか?

彼の生い立ちを聞いたときには非常に心に刺さるところがありましたね。特に親があれだけ教団に翻弄されて搾取されていたってところが、他人事ではない気がしました。

強引な霊感商法だったり、恐怖を煽ってお金を搾取していくようなやり方は、創価学会でも使う手法なのですが、旧統一教会の場合はそれがかなり悪質だなと。他人事ではない気はしましたね。

ーー長井さんはいつ信者になられたんですか?

ザ・宗教2世ですから「ナチュラルボーン創価学会員」と言ってもいいんじゃないかなと。生まれながらにして手の周りに数珠が絡んでいるぞみたいな。いわゆる宗教活動、宗教儀式をするのがごく自然な家でした。

ーー親が信者だと、子どもは大体信者なんですか?

大体そうです。両親とも創価学会員だと子どもはほぼ100%学会員ですね。

ーーご両親はどんな感じで信仰していたんですか?

うちの両親の出身は、母親は京都、父親は北海道で、いかにも「家業を継がないで都会に出てきて、自分で生計を立ててやっていくんだ」ってタイプの夫婦でした。創価学会の人たちにはそのケースが本当に多いんです。

ただ、うちの父親は札幌にいたときから創価学会が嫌いだったんですよ。当時の創価学会って極端に言うと迷惑系YouTuberみたいな感じで、いつも人に対して折伏(しゃくぶく/自身の信仰体験や仏法の哲理を友人や知人に語ること)や勧誘を強引にしたり、選挙でも公職選挙法違反をして捕まったりする人もいっぱいいたので、社会的に軋轢を生む存在でした。

だから父親は若いとき、「あんな宗教団体があったら日本が滅ぶ」「俺が創価学会をぶっ潰す」って言うような人だったんです。ただ、友達もできなくて一人で悶々としちゃって軽いうつとかになっていたときに、創価学会のネットワークに拾われて救われるっていう。母親の姉とか、姉の夫が先に信仰していたので、そこからですね。