メルマガ会員は48万人

――まず最初に「みんかぶマガジン」とはどういうメディアですか?

鈴木(以下、同)「資産形成に興味を持っている人が読むメディア」と思われがちなんですが…違うんですよ。正確に言うと、それが回答のすべてではなくて、「読まずにはいられない」と思えるようなコンテンツにこだわっているメディアなんです。

「みんかぶマガジン」は2021年秋にスタートした有料メディアで、課金サービスである「みんかぶプレミアム」の1コンテンツになります。私は2022年5月より編集長に着任し、みんかぶプレミアムの累計契約者数は1万6000人。メルマガ会員は48万人に上ります。主な想定読者はたしかに「資産形成に興味を持っている人」なのですが、これまでの資産形成メディアとは一線を画す形で、マネー記事は主力コンテンツではあるものの、全体の40%に抑えています。

そもそも記事が楽しくなければわざわざサブスクしてまで読みたいとは思ってもらえません。なので媒体の持続可能性を高めるという観点からも、「資産形成とはこういうものです」と一方的に読者に押し付けるのではなく、資産形成とゆるくつながりながら読者が「もっと読みたい」と思えるようなコンテンツをつくるように心掛けています。

「超大物投資家」から「六本木キャバ嬢」インタビューまで…メルマガ会員48万人「みんかぶマガジン」メディアジャックの裏側_1
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無料メディアは構造的不況に陥っている

――なぜ無料ではなく有料なのですか。

無料メディアは構造的不況に陥っているように思いますし、紙媒体出身者としては無料で情報を流すことにかねて違和感を覚えていました。「みんかぶ」全体としては多くのサービスを無料で利用できますが、その中でもお金を払っていただける人には特別な付加価値を提供したいと思っています。

その背景には昨今のネットワーク広告環境の変化の大きさもあります。電通などが発表している「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によれば、インターネット広告市場は前年比115.0%の2兆4,801億円と未だに大きく成長していますが、そのけん引役となっているのは前年比122.2%の検索連動型広告、前年比112.5%のソーシャル広告です。

一方で、多くの無料オンラインメディアが導入しているアドネットワーク広告については、広告単価の下落の情報が各メディアから寄せられています。とある芸能ニュースサイトでは単価がピーク時の半分以下に落ち込んだといいます。

株式会社ファンコミュニケーションズが提供しているアドネットワーク「nend」を巡っては、2023年7~9月の売上高が前年同期比でマイナス41.7%になり、同社はnendのサービス終了を発表しました。アドネットワーク全般の話として、広告出稿側からは広告効果を疑問視する声もあがってきています。