警視庁保安課が「BAR EDEN 九二五九」に踏み込んだのは10月28日21時ごろのことだった。当日の情報をいち早くSNSで発信した、「たぴさん ハプニングバー観光大使」氏は言う。
「その日は『女子祭』というイベントデーで、女子限定の香水やデパコスが当たる抽選会を企画して女性客を募っていました。しかし、実際は男性客が大半の“男祭り”状態だったようです。
しかもダーツで遊んでいた男性ひとりが、ちょうど罰ゲームで全裸になったところで警察に踏み込まれ、スタッフ全員とその全裸男性が連行されました」
〈新宿・ハプニングバー摘発〉ダーツ中の全裸客も逮捕…店内ではいったい何が? 「ハプバーは終わった…」好事家が嘆くそのワケは
10月28日、東京都新宿区大久保のハプニングバー「BAR EDEN 九二五九」が摘発され、客に猥褻な行為をさせたなどとして、警視庁保安課によって経営者の男ら6人が公然わいせつほう助の疑い逮捕された。当日の現場の様子を知る人たちに話を聞いた。
今回の摘発で「ハプニングバーは終わった」との声も

大久保の人気店だったという「BAR EDEN 九二五九」(撮影/集英社オンライン)
「BAR EDEN 九二五九」は、昨年5月に渋谷で摘発された国内最大級のハプニングバーとも関係のある店だという。前出のたぴさん氏は続ける。
「昨年5月に摘発された『Sleeping Beauty~眠れる森の美女~(通称SB)』は歌舞伎町の老舗ハプニングバー『Bar 美女と野獣(通称BB)』の2号店としてできた店でした。さらに上野に3号店ができ、完全紹介制の『BAR EDEN 九二五九』は4店舗目という位置づけ。
しかし、昨年5月に続いての今回の摘発でSB系列のグループ店の勢いは完全に失われたといわれています」
さらに、ハプニングバー関係者は言う。

去年5月に摘発された渋谷のハプニングバー「Sleeping Beauty~眠れる森の美女~」(撮影/集英社オンライン)
「これまで摘発された店の多くは、男女が裸や裸に近い格好でわいせつ行為を行ってる最中での現行犯逮捕でした。
でも、今回の摘発時はフルチンの男がひとりいただけ。こんなことでも逮捕が成立してしまうのですから、『ハプバーの時代は終わった』と利用者は嘆いてますよ」
では、ふだん、店内ではどのような行為が行われていたのか。「BAR EDEN 九二五九」の常連だったという20代女性は言う。
「多くのハプニングバーでは『単男(単体の男性客)』『単女(単体の女性客)』『カップル(男女で来店した客)』『新規』を見分けるために、客に色違いのリストバンドをつけさせています。
『BAR EDEN 九二五九』も同様ですが、このお店が珍しいのは、単男や新規の男性は自分から他の女性には話しかけられず、単女も単男にしか話しかけられない規則があったこと。
カーストの最上位がカップルで、彼らは誰にでも話しかけることが許されていました」
ハプニングバーで捕まる客は「運が悪かっただけ」と罪の意識なし
このほかにも店内のルールはいろいろと厳しかったという。
「店内へのスマホの持ち込みは固く禁じられ、荷物を置くロッカーから少しでもスマホを持ちだそうもんなら店員に『ダメですよ!』と厳しく注意されますし、店内での連絡先の交換も禁止。
かつて女性にLINEを聞こうとした男性客が出入り禁止になったこともあるほどでした。そうした厳しいルール下で男女の合意のもと、ようやくプレイルームでセックスできるのです。
プレイルームには“見るだけの客”のために『覗き窓』も設けられていました」(前出、常連女性)

店舗入り口。常に施錠されていた(撮影/集英社オンライン)
さらに常連女性は客層やふだんの店内の様子についても教えてくれた。
「客層は幅広く30代半ばから70代くらいのおじいちゃんも見かけたことがあります。
店内ではできる会話も限られてるので、だいたい『BAR EDEN 九二五九』のBBSに『〇日×時に遊びに行きます!』とか『スワッピング相手募集です』と事前に相手を探してから来店する人が多かった。
プレイルームには6人ほど入れて、そこで乱交もできますが、『BAR EDEN 九二五九』では店内のどこで全裸になってもOK。
だからダーツで負けた常連客が罰ゲームで全裸になる光景はよく目にしていました」(同)
だが、「BAR EDEN 九二五九」は、「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を提出して営業許可をとっており、名目上は飲食店。風俗店でないこのお店で裸になることは御法度だ。
それでも、利用者たちに「罪の意識」はほとんどなかったという。

「BAR EDEN 九二五九」の会員証(撮影/集英社オンライン)
ハプニングバーに詳しいライターの倉田達也氏は言う。
「好事家たちは今回の件に関しても、はっきり言って『居合わせた人は運が悪かっただけ』としか思ってないし、ハプバーに行くことが悪いことだとは思っていません。
なので、この店が閉まれば他店舗に流れるだけ。実際、『BAR EDEN 九二五九』にはかつてのSBユーザーがかなり多く来店していました」
ハプニングバー好事家たちと警察のイタチごっこはまだまだ続きそうだ。
※「集英社オンライン」では、ハプニングバーや好事家たちが集まる場について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
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取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班
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