「本来は提灯をゆさゆさと賑やかに練り歩くものでした」

「ええのんじゃー」のかけ声とともに青竹をちょうちんに激しくぶつける乾いた音が響く。21日午後7時ごろ、魚吹八幡神社の楼門前で「ちょうちん練り」は始まった。

問題の動画は長さ約3メートルの青竹の先につけられた「ちいかわ」を模したちょうちんを大勢の人々が取り囲み、青竹を強く地面に打ち鳴らすところから始まった。

毎回、大いに盛り上がる祭り
毎回、大いに盛り上がる祭り
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かけ声とともにしばし青竹を打ち鳴らすと、次の瞬間、何十本もの青竹は「ちいかわ」を模したちょうちんに降り下ろされる。「ちいかわ」のちょうちんはビリビリに破け、跡形もなくなるのだが、これに対し、ちいかわファンから「かわいそう」「むごい」と悲鳴が上がっている。秋季例祭の主催である魚吹八幡神社の宮司が語る。

「お祭りは21日、22日にわたって行われます。21日は宵の祭ということで夜のお祭りなのですが、神輿に三柱の神様をうつしてお旅所に行きます。神輿の前後に提灯がつくのですが、本来はその提灯をゆさゆさと賑やかに練り歩くものでした。それが勢いあまってしまうというか面白いほうにいってしまうというか……。叩くというのはもともとはまったく違うわけなんですけども……」

青竹で叩かれてボロボロになったちいかわ提灯
青竹で叩かれてボロボロになったちいかわ提灯

本来は「高張り提灯」で田んぼ道を照らし神輿の渡りをしていたのだが、いつの間にか現在の“ちょうちんを叩く”という形が秋季例祭の名物になっていったという。
なぜ「ちいかわ」を模したちょうちんだったのかという点については、宮司はこう回答した。

「私たちのほうからどんなちょうちんを使うのかという部分にはタッチしていないのでわからないです。『ちょうちん練り』には7つの地域が参加するのですが、一部の地域のごく一部の人たちが『ちいかわ』のちょうちんを使ったということです。普通は、各地域の村の紋だったりロゴだったり、神社の三つ巴だったり、そういったちょうちんが主体です。今回の件でネットで問題になったというのは知っています。ホームページに謝罪文のほうを載せさせていただきましたが、今後のことは協議し、ホームページにてお知らせいたします」