「子どもがあのシーンを見て泣いてしまった」

どのようにして「ちょうちん練り」は発展していったのか。別の神社関係者が経緯を説明する。

「もともとはちょうちんを『練り合わせる』というところから始まり、竹同士が当たって『これええやないか、おもろいな』となって、今みたいな竹をぶつけあうという形に発展していっただけなんです。エスカレートしたと言えばエスカレートしたのですが、それが恒例となりました」

HPに書かれた謝罪文(魚吹八幡神社HPより)
HPに書かれた謝罪文(魚吹八幡神社HPより)

7つの地域がそれぞれちょうちん練りに参加し、祭りには1000個近くのちょうちんが並ぶ。使われるちょうちんが変化しだしたのは平成に入ってからだという。

「いろいろなキャラクターのちょうちんが使われるようになったのはだいたい20年前くらいからだと聞いています。その村の特色をだして作りたい、より目立たせたい、というかそんな感じだと思います。
動画にアップされている村は、キャラクターのちょうちんを作るのが特色でいつも独自ちょうちんを作ってます。他の村はキャラクターのちょうちんは作りません。その村は若い子が多くてそれが伝統になっているというか。毎年毎年、その年に話題になったキャラクターをリサーチして作っているみたいです。でも、悪気があるわけじゃなくて……。前にはピカチュウだったり、人気アニメキャラのちょうちんがいろいろありました。他にも今年はビクトリーと書かれた阪神タイガースの選手や監督の写真などのちょうちんもあったようです。

ちょうちんを作ってる人たちは愛もあって作ってはいると思うんです。ですが、今後は外部から疑問の声があがるものはすべて出さない方向にしていくしかないかなと思っています」

今回の事態に関してはちょうちん練りの次の日、お宮には「なんでこんなことをするんですか?」とクレームがきた。メールや電話も鳴りやまないという。

「メールは40件以上来ました。『子どもが見る番組なのに、子どもがあのシーンを見て泣いてしまった』とか『見てて心が痛いです』という内容などです。もちろんファンのかたの気持ちやおっしゃりたいことは重々理解できますし、私も好きなキャラクターとかいますし、それがああなったらどう思うのかなと言われればわかります。まだ協議中ではありますが、お祭り自体はおそらく続けていくとは思うのですが、キャラクターなり肖像権があるものを全面禁止にする方向にしなければいけないなと考えております」(前出・神社関係者)

今後は神輿の前後を照らすちょうちんを練り合わせる本来の形に戻して『ちょうちん祭り』は継続されていく見通しだ。


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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班