〈四谷大塚講師・盗撮〉「字が汚いと生徒に悪口いわれ、チヤホヤされたかった」“完落ち”した盗撮講師が語った、SNSに女児生徒の動画と個人情報をさらした理由…四谷大塚は「懲戒解雇処分にし警察に通報しました」
中学受験進学塾大手「四谷大塚」(本部・東京都中野区)で学ぶ女子児童の盗撮動画と個人情報が小児性愛者グループのSNSに投稿されていた問題で、20代の現職講師Mが盗撮と情報漏えいなどの疑惑を全面的に認めた。集英社オンラインの直撃取材に「全て私の責任。被害児童と家族に謝罪したい」と証言。これに対し四谷大塚はこの講師を即時懲戒解雇処分とし最寄りの警察署に通報。激震の余波は当分収まりそうもない。
問い詰められたMは「じゃあどうすればいいんですか?」
Mは四谷大塚・都内西部の教室に勤務しており、8月9日の授業を終えて帰途につくところを本誌記者が直撃した。
「これはM先生ですね」と本人も映り込んでいる盗撮動画の確認を求めたところ、Mは一瞬、スマホの画面を覗き込んだ後、顔色を変えて無言で立ち去ろうと小走りに。そこで記者が「一回立ち止まってもらっていいですか」と静止を促すと、足を止めて画面をチラッと一瞥し、「違います」と吐き捨てるように言って、再び走りだしたが「これは先生が受け持っている生徒ですよね。違うのであればきちんと説明してください」「この窓ガラスに映り込んでいるのは先生ですよね。声も入っています。これは誰の声ですか」と問いかけると、足を止めて「じゃあどうすればいいんですか」とつぶやいた。

記者が声をかけると、急に走り出したM講師(撮影/集英社オンライン)
以下はその後のMと記者との一問一答である。
――「キッド」というハンドルネームで、SNSに生徒さんを映した動画や、名前や住所などの個人情報をばらまいていますよね。どうしてあんなことしたんですか。
………………。
――プロフィールによると逮捕歴があるんですか?
ないです。ウソです。
――小児性愛があるというのは?
ないです。
――離婚歴は?
あれもウソです。

「キッド」のハンドルネームでMがSNSにあげていたプロフィール(知人提供)
Mは途中、座り込んだり、動機を「SNSの仲間に動画をもっと投稿しないと正体をバラすと脅された」などと意味不明の言い訳を口にすることもあったが、やがて観念したのか少しずつ、今回の件について話し始めた。
「犯罪だということはご存じですか?」「はい」
――児童たちの本当の住所をさらしてますよね。書かれた方は恐怖でしかないですよ。
………。
――実際に強姦しようと思ったことはあるんですか?
ないです、さすがに。
――いたずらをしようとはした?
してないです。

「輪姦したいですよ」とSNSに書き込んでいた「キッド」
――ご自身がしていることが違法であり犯罪だということはご存じですか?
(小声で)はい。
――なんであんな書きこみをしたのですか?
(視線を泳がせながら)ちょっと釣ってみたかったんで。

観念して座り込むM(撮影/集英社オンライン)
――ご自身で警察に行かれますか。それともまず保護者に謝罪されますか?
まず謝ります。
――四谷大塚にもきちんと事情を話して謝ったほうがいいですよ。
はい。
――出身大学はSNSで書かれていたように筑波大学ですか?
……ウソです。ほとんどウソです。
――本当にロリコンではない?
違います。
――なぜ、こんなことをしたのですか?
そうですね。最初は先輩社員とうまくいかなかったのと、自分の時間がないこととか、結婚できないこととか。あと、あまり生徒から人気がなかったので、人気者になりたいという本当に幼い動機というか。悪口ばっかり言われてたので、生徒たちに。字が汚いと。受験生の人たちですけどね。
――結婚はしてないといったが、今彼女はいない?
いないです。いたことがないです
――むしゃくしゃした思いはあった?
ありましたけど。会社に対してや生徒に対しての恨みはまったくなかったので、今は後悔の気持ちでいっぱいです。保護者さんは、いつ知ったんですか。私はずっと夏期講習の授業をしてたんですけど。私は知られていながら授業をしていたことに……。
※
ここから先は、「謝罪はどうしたらいいですか」と途方に暮れるMが記者に逆質問するような展開となった。Mにはいろいろと悩みがあったようだが、だからといって、彼がした行為は決して許されることではない。
「ええっ!ええーっ!」と校舎長は狼狽

頭を抱え、座り込んでいたM(撮影/集英社オンライン)
翌8月10日、Mが所属する四谷大塚の教室の校舎長が取材に応じた。取材にはMが同席しており、校舎長は事実関係をある程度把握しているかと思いきや、こちらの取材に対しては椅子をひっくり返さんばかりに驚き、狼狽するばかりだった。
「取材? ええっ!ええーっ! 何名の被害者が? ええーっ。特に被害者の方から本校に問い合わせはありませんでしたが……。私も今初めて聞いて、寝耳に水です。被害者に対する謝罪やMの処遇については本部とすぐに協議して対応します。Mは社員になって2年ほど経ちますが、当たり前ですけど、常識的に考えれば普通はそんなことやらないわけで……。
ちょっと今頭が混乱しておりまして、すいません。お預かりしているお子さんの安全を第一に考えなきゃいけないと心がけているのですが……。すいません。まったくわかりませんでした。私自身の気持ちとしては被害者の方たちにお詫びしてもお詫びしきれないという気持ちです」
同日夜8時ころ、Mは複数の警察官に付き添われて校舎から姿を現し、警察車両に乗り込んだ。

複数の警察官に付き添われて警察車両に乗り込んだM(撮影/集英社オンライン)
翌11日、四谷大塚の本部は事実確認や今後の対応を文書で質問した集英社オンラインに対し、書面で以下の回答をした。
※※※
「残念ながら、このたびのM社員の件、御社からの連絡をいただくまで弊社は全く把握しておりませんでした。M社員本人に事実確認を行ったところ、盗撮と個人情報漏洩の事実を本人が認めたため、即時、懲戒解雇処分としました。また昨夜、警察署の方2名に校舎までご足労いただき、その時点でのスマホの任意提出をしてもらった後、M社員に弊社担当者も同道して警察署まで行き、本人より罪を申告しました。更にM社員の自宅に本人、警察官、弊社担当者と行き、M社員がパソコン1台、ハードディスク1台を任意提出いたしました。
本人の言動は、まことに講師としてあるまじきことであり、信じられない思いです。かかる人物を雇用してきた弊社としても、当然使用者としての責任を自覚しております。
今後については、弊社としても全面的に警察の捜査に協力させていただき、捜査を進めていただきます。もちろん、被害届を検討しておられるご家庭には、十分な協力をさせていただくつもりです。

本部がある四谷大塚中野校舎(撮影/集英社オンライン)
今回の件については、生徒を預かる弊社として、絶対にあってはならないことであり、まずは被害に遭われた生徒の皆様と保護者の皆様はじめ弊社を信頼していただいてきた全ての皆様に、心からお詫び申し上げます。
さらに弊社として最も心配しているのが、被害に遭われた生徒の皆様の精神的なダメージです。当該生徒のご家庭には、警察の捜査の進行に差し支えない範囲内で今回の事実を正しくお伝えし、謝罪を申し上げるとともに、いつでも専門の精神科医に相談できる体制を早急に整え、生徒の心のケアを全力で行ってまいります。
今後、弊社は、警察にご指導をいただきながら、原因の究明と再発の防止に努めるとともに、二度とこのような犯罪を発生させないように対処してまいります」
※※※
四谷大塚が被害者や保護者にどう対処し、警察当局がどう動くのか。今後の展開を注視したい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班