「彼女を刺して自分も自殺しようと思った」「彼女とトラブルはなかった」

警視庁野方署に逮捕されたのは、YouTubeなどで「ぷす」という名前で活動していた矢野麻也容疑者。同容疑者は先月31日、中野区野方の自宅マンションの一室で寝ていた10代の少女の胸を包丁で刺したとして殺人未遂の疑いがもたれている。

同署の調べに対し、矢野容疑者は「彼女を刺して自分も自殺しようと思った」などと供述。ところが、その後の調べで「彼女とトラブルはなかった」と話しており、警視庁は犯行にいたった動機について捜査を進めている。

一連の事件を受けて、矢野容疑者がすべての楽曲の作詞作曲を手がける3人組音楽ユニット「ツユ」は1日、公式Xを更新。「お詫びとお知らせ」と題し、被害者への謝罪とともに、6月に開催を予定していたライブ2公演の中止を発表した。

矢野容疑者(本人SNSより)
矢野容疑者(本人SNSより)
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岡山県出身の矢野容疑者は、大阪府にある音楽の専門学校に通っていた2012年ごろから、ニコニコ動画やYouTubeを中心にボーカロイドなどの楽曲の投稿をスタート。

その後、上京を機に歌い手として活躍の場を広げ、2019年には3人組音楽ユニット「ツユ」を結成している。昨年には大人気ヤンキーSFアニメのエンディングテーマを手がけたことでも話題になった。

その一方で、音楽関係者の男性は「彼(=矢野容疑者)は情緒不安定なところがあった」と証言。「ぷす」名義のXアカウントにも「音楽死ね死ね死ね……」や「自分は正真正銘のクズです」などと、多くの愚痴や不満、自虐が投稿されていた。 

ペン回しの動画をアップする「ペンスピナー」として活動

「麻也(=矢野容疑者)は平気で人に暴力を振るうような人間でしたよ。イジメ配信と称して、麻也にコーラをぶっかけられたり、ドライヤーの熱風を肌に直接当てられたりもしました」

そう語るのは、大阪時代の矢野容疑者をよく知るAさん(男性)だ。知り合ったきっかけは今からおよそ11年前、YouTubeでのコラボ動画だったという。

「もともと麻也はボカロP(プロデューサー)として活動する前は、YouTubeにペン回しの動画をアップする『ペンスピナー』としても活動していました。自分も同じような動画を投稿していたので、その繋がりで知り合ったんです。

そのころから麻也は金髪で、ペン回しのほかにも、好きなデスメタルの曲とかアニソンの曲なんかもYouTubeにアップしていて『これからはボカロPとして生きていく』とも語っていました。

自分と少ししか年が変わらないのに、将来に向けた明確なビジョンを持っている麻也には憧れみたいなものはありましたね。ボカロに対しても、彼なりにマーケティングして商売として勝とうと戦略を立てていたし、かっこいい先輩みたいな存在でした」(同)

現場となった自宅マンション(撮影/集英社オンライン)
現場となった自宅マンション(撮影/集英社オンライン)