新宿区の西武新宿線・都営大江戸線の中井駅から徒歩5分ほどの場所にある「三の輪湯」。住宅街の中でレンガ製の外壁がひときわ目を引き、どこか西洋感漂う三の輪湯は、地元のお客さんだけでなく、遠方からも足を運ぶファンも多い。三代目店主の渡邉俊一郎さんにお話を伺いながら、三の輪湯のエモさ探る。

新宿の洋風銭湯!?  住宅街に佇む、ノスタルジックな東京・新宿区「三の輪湯」の魅力_1

三の輪の創業と父の想い

三の輪湯の創業は1932年。目の前の通りが「三の輪通り商店街」と呼ばれたことが名前の由来だ。約30年前まではお店が立ち並んでいたこの通りも、現在では三の輪湯だけを残し、他は住宅になってしまった。

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三の輪湯の名前の由来にもなった旧三の輪通り商店街。細い路地に現在では家が立ち並ぶ

これまで何度も改装を繰り返し、現在の姿になったのは、三代目の俊一郎さんが当時中学生だったおよそ30年前のこと。

「おそらく創業から90年間で5回ぐらいは改装をしているはずで、銭湯の中でも多い方だと思います。それまでは瓦屋根があって男湯と女湯の間に番台がある、いわゆる昔ながらの銭湯でした。建物自体もたしか昭和20年代に建てたので、実はかなり年季が入っているんですよ」。(店主・渡邉俊一郎さん。以下同)

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三の輪湯三代目の渡邉俊一郎さん

そんな歴史ある三の輪湯を俊一郎さんが継いだのは3年前の2019年。それまではサラリーマンとして働きながら銭湯を手伝っていたが、父で二代目の一(はじめ)さんが亡くなったことをきっかけに家業を継ぐことを決意。現在は母のみよ子さんと弟の奥さんの3名で三の輪湯を支えている。

「浴室を綺麗に保つことは父の代から受け継いでいます。掃除を徹底的にやるっていうのは父の代でもそうだったので。アルバイトに任せっきりにするんじゃなく、自分でやることを徹底していました。衛生面含め、風呂屋が一番大事にしなければいけないことですからね」。

そう言って誇らしげに見せてくれた浴室は確かにピカピカ! タイルからカランまで、綺麗に保たれているのがよく分かる。窓から差し込む光が反射して浴室が輝いて見えた。

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三の輪湯女湯浴室の様子。窓から差し込む光が綺麗に掃除された浴室を照らす