クルミの食物アレルギーが、9年間で10倍増!

クルミが追加された「特定原材料」とは、アレルギー発症数が多く、重篤な症状に到ることが多いものとして、加工食品への表示が義務化されている食材のこと。他にエビ、カニ、小麦、そば、卵、乳、落花生がある。

今回クルミの表示義務化に至った背景として、アレルギーの原因食材第3位にクルミを含む木の実類がランクインしたことが挙げられる(消費者庁発表「令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書」より)。
長年、アレルギーの原因食材トップ3は鶏卵、牛乳、小麦だったが、木の実類が小麦を抜いたのだ。

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その理由の一つとして、「日本人の食生活の変化や健康志向から、木の実類の消費量が増えていることが考えられる」(福冨氏、以下同)という。

「そもそも食物アレルギーとは、本来無害なはずの食べ物に対して体内の免疫が過敏に反応することで、体に有害な症状が起きている状態のことです。食べるだけでなく、皮膚や粘膜から食べ物の成分が体内に入り発症することもあります。

発症には遺伝的要因もあることがわかっていますが、その影響は小さく、基本的に発症のメカニズムは環境的な要因のほうが強いですね。日常的に食べているうちにだんだんアレルギーになる場合もあります。

例えばクルミの日本での消費量は、1985年の約7000トンから2020年の約5万6000トンへと、35年間で8倍に増加しています。クルミのアレルギーは子どもが発症することがほとんどですが、消費量に比例するかのように、クルミの食物アレルギーの発症件数は9年間で10倍以上にも増加しているのです」