19世紀末から20世紀にかけて、イギリスで大人気だったイラストレーター、ルイス・ウェインの人生を『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)のベネディクト・カンバーバッチが体現する感動作。
夏目漱石の「吾輩は猫である」に登場する絵葉書の作者だとも言われているウェイン。それまでネズミを退治するくらいの役割か、不吉だと恐れられていた猫の絵を愛らしくコミカルに描き、愛すべき存在だと世界に知らしめた人物です。
ウェインは病を患う最愛の妻のために、親友であり人生の師と仰ぐほど愛着を感じたペットの猫「ピーター」の絵を描きましたが、彼のイラストが新聞に掲載されると大人気を博し、そのおかげでイギリスから猫を愛する人の輪が広がっていったのです。
かつては、猫が犬と比べて軽い存在とみなされ、ペットとして愛されることもなかったなんて驚きでしたが、ウェインが猫をかわいらしくイラストに描いてくれたおかげで、世界中の人々が猫を大切に思うようになったのですね。
ウェインが愛したピーターは、庭に迷い込んできた子猫のときからたまらなくかわいくて、ドラマチックなウェインの人生の物語の中で、ひたすら癒してくれる重要なキャラクターです。
【悶絶必至!】そのかわいらしさ、もはや罪つくり。猫だらけのキュン映画5選
ちょっと心が疲れたり、イライラしてしまったりしたとき必見! マイペースで気ままな姿に癒される、たまらなくかわいい猫たちが登場する映画をご紹介。
『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』(2021)The Electrical Life of Louis Wain 上映時間:1時間51分/イギリス

『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』
12 月 1 日(木)TOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー
©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION
『猫が教えてくれたこと』(2016)Kedi(英題 Cat) 上映時間:1時間19分/トルコ・アメリカ

Capital Pictures/amanaimages
“猫の街”として知られるトルコのイスタンブールで、個性あふれる7匹の猫たちを、地上10㎝の高さという猫目線で撮影したドキュメンタリー映画。猫の気分になって街を歩いているような感覚を味わえると同時に、深い愛情を注いでいる人とたちとの交流を優しく見つめる作品です。
本作に登場する7匹の猫には、「サリ」「ベンギュ」「アスラン・パーチャシ」「サイコパス」「デニス」「ガムシズ」「デュマン」と名前が付けられていますが、実はみんなペットではなく野良猫。行く先々で特定の人に世話をされたりはするけれど、気ままに行動し、ご飯をもらって上手に暮らしています。
“泥棒”という呼び名のあるサリは、食べ物を子猫のために運んでいる母猫。工業地帯に住み着いているベンギュは、地域にとけ込んでいて、働く人々にとって家族の一員となっています。アスラン・パーチャシは、魚料理のレストランのネズミを追い払ってくれるので、“守護神”として感謝されているほど。
すごい名前を付けられているサイコパスは、縄張りからライバルを追い出す気性の激しいメス猫で、野良犬からも尊敬されるツワモノ。社交的で、オーガニック・マーケットを訪れる人々や店主からかわいがられているデニス、どんな人のハートもつかみ、世話を焼かずにはいられない気持ちにさせるガムシズもチャーミング。デュマンは美食家で、高級レストランでもらう豪華なものしか食べません。
7匹とも器量よしで、ずっと見ていたくなるほど個性豊か! 癒されまくりの眼福猫映画です。
『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016)A Street Cat Named Bob 上映時間:1時間43分/イギリス

Photofest/アフロ
主人公は、薬物依存で親にも見放され、ホームレスになってしまったストリート・ミュージシャン。生きる希望も持てずにいたときに、ケガをした猫を助けたことから、“猫の恩返し”のように救われる感動の実話です。
ロンドンでプロのミュージシャンを目指すも、夢はかなわず、薬物依存から抜け出すこともできない、まさに人生ドン底のジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)の前に、1匹の茶トラの猫が現れます。
足にケガをしていることに気づいたジェームズが、有り金をすべてはたいて猫を助けると、「ボブ」と名付けられたその猫は、かたときもジェームズから離れなくなりました。ボブはストリートライヴにも同行するように。次第にジェームズとのコンビの動向が、世間の注目を集めるようになります。
実話を基にした本作に、なんと本物のボブが自身の役で出演! ジェームズの肩に乗って出かけたり、ハイタッチをする仕草があまりにも可愛くて、ジェームズだけじゃなく、映画を見た人まで幸せにしてくれるはず。
クリスマスを舞台にした続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』(2020)での、サンタスタイルのボブも最高にキュートです!
『こねこ』(1996)Котёнок(英題 The Little Cat) 上映時間:1時間24分/ロシア
ペットとしてかわいがられていた子猫が、窓から足を滑らせ、トラックの荷台の上に落ちたことから大冒険が始まる、まさに猫にまみれる物語。
モスクワの音楽家一家にペットとして飼われることになったトラ猫の「チグラーシャ」。家族の一員になったばかりのまだ小さいチグラーシャは、家の中をあちこち歩き回り、花瓶を割ったり、カーテンを引き外したり、インクをこぼしたり、楽器ケースに粗相をしたりとやりたい放題。
ある日、チグラーシャは窓辺から着地したトラックの荷台に乗ったまま、見知らぬ場所へ。家族は近所を懸命に探しますが、かなり遠くに行ってしまっていました……。
まず、家の中で動き回るチグラーシャのいたずらっ子ぶりにノックアウトされ、トラックから降りた後に出会う大勢の猫たちのかわいらしさにはもう、クラクラします!
子猫のチグラーシャは本当に小さくて、両手に乗せて頬にスリスリしたいと思わずにはいられないほど。
心がホカホカする、猫をメインにした劇映画の決定版です。
『キアヌ』(2016)Keanu 上映時間:1時間40分/アメリカ

Everett Collection/アフロ
スター俳優、キアヌ・リーヴスがタイトルロールの猫の声を演じた抱腹絶倒コメディ。
『ゲット・アウト』(2017)『アス』(2019)『NOPE/ノープ』(2022)を監督して大ヒットさせたジョーダン・ピールが製作・脚本・出演を務め、お笑いコンビ「キー&ピール」の相方であるキーガン=マイケル・キーと共演。誘拐された愛猫を取り戻すためにギャングに潜入するイケていない従兄弟のコンビを演じます。
彼女にフラれて落ち込むレル(ピール)のもとに、小さな野良猫がやって来ます。そのかわいらしさに癒され、ハワイ語で「涼風」という意味の「キアヌ」と名付けて飼うことにしたレルは、キアヌのためならどんな危険にも立ち向かう決意をします。ところが、キアヌがさらわれてしまい大ショック! レルは従兄弟のクラレンス(キー)に助けを求め、犯人と思われるギャングに立ち向かうことに……。
誤解や勘違いから、どんどん大ごとになるキアヌ誘拐事件。レルが溺愛するほどキュートなキアヌですが、クラレンスが薬で朦朧としているときに、人間の声でクールに語り出すシーンは爆笑。子猫の声を演じてくれるなんて、やっぱりキアヌ・リーヴスはスーパーいい人!
失恋男も、ゴツいギャングたちもメロメロにする子猫のキアヌ。
猫のかわいさは、世界を救います!!
文/清水久美子
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