#1「原作者へのラブレター」と語る、映画『零落』にかけた思い

「お前はどっち派?」のやりとりが、映画ファンの証だった

「悲しいほど企画が通らない時期がありました」映画『零落』で監督10作目となる竹中直人。「まだ生きていられるなら、ずっと映画の現場にいたい」_1
すべての画像を見る

──「ロードショー」は往年の映画雑誌のWeb版として2022年に復活したものですが、この名称を聞いて何か思い出されることはありすか? 

「ロードショー」ですか! 読んでましたよ。懐かしいなあ! カラーのグラビアが多くて、俳優の人気ベスト・テンなんかも毎月やっていましたよね!

当時は「スクリーン」(近代映画社/現「SCREEN」)と人気を二分していて、「お前はどっち派?」みたいに映画ファンの間でやり取りしていましたが、「ロードショー」のほうが柔らかかったというか、庶民的というか、入り込みやすい印象はありましたね。「スクリーン」のほうが少し大人っぽかったかな。

そしてだんだん映画熱が深まっていくにつれて、「キネマ旬報」(キネマ旬報社)みたいな映画評論を中心とした専門誌へ移っていくんですよ。

──竹中さんは当時どちら派でした?

僕はどちらかというと中立派だったかな。実は映画雑誌というと、それ以前の時代の「近代映画」(近代映画社)に深い思い入れがあるんです。あの雑誌は日本映画を中心に扱っていて、加山雄三さんがよく登場されていた。

とにかく僕は東宝の『若大将』シリーズが大好きでした。加山さんは日本で最初のシンガーソングライターでもあります! 本当にめちゃくちゃかっこよくて、グラビアを切り取って部屋に沢山貼っていましたね。最高の映画俳優です!