3ヶ月かけて、ようやく事前登録申込書の提出へ

2012年12月に自民党・第二次安倍政権が発足してからこの10年間にわたり、「新たに事前登録が認められたフリーランス記者は0名」という、世界に類を見ない“異常な閉鎖性”の中で行われている日本の総理大臣記者会見。

民主党政権以来10年ぶり! ついに総理大臣記者会見への参加が認められた【顛末レポート】_1

フリーランス記者がこれに参加・質問するには、通過すべき4つの関門(①事前登録→②抽選→③参加→④質問)があり、まず最初の関門である①事前登録を申請するには以下の条件を満たす必要がある。

・直近3ヶ月以内に協会(日本専門新聞協会、日本雑誌協会、日本インターネット報道協会、日本新聞協会)の加盟社が発行する定期的刊行物等に総理や官邸の動向を報道する署名記事を各月1つ以上掲載

・上記記事を掲載した加盟社または媒体の編集者からの推薦状を提出

出典:官邸報道室とやり取りする中で徐々に明らかになった参加条件を筆者が要約

1点目の署名記事は、直近3ヶ月以内に各月1つ以上の掲載が求められるため、ただ事前登録の申請をするだけでも最低3ヶ月以上はかかる。また、ただでさえ取材機会が限定されているフリーランス記者に対して、総理大臣記者会見の参加前に総理や官邸に関する署名記事を求めるのは順番として完全に矛盾しており、これもハードルを引き上げている。しかし、私は粘り強く対応して、7月上旬にこれらの条件を全てクリアした。

*筆者が条件を満たすまでの詳しい経緯や苦労は、前回記事「なぜ君は総理会見に参加できないのか? 直近10年「新規登録0人」の異常性」 参照

そして、参議院選挙後の7月12日、私はついに総理会見の事前登録申込書、推薦状等を官邸報道室へ提出。正式に事前登録の申し込みを行った。

民主党政権以来10年ぶり! ついに総理大臣記者会見への参加が認められた【顛末レポート】_2
事前登録申込書(筆者が提出した事前登録申込書。参加条件として必須である署名記事には、5月〜7月にかけて集英社オンラインで掲載した記事を記載)

翌13日、官邸報道室から申請書類を無事 受け付けた旨のメール返信が入る。ただ、もともと官邸側から聞かされていた「事前登録申請後の手続きには1ヶ月程度かかる」という話が腑に落ちず、「なぜ、実質2枚(事前登録申込書、推薦状)の申請手続きに1ヶ月もかかるのか?」と電話やメールで複数回問い合わせたのだが、ついに回答は得られなかった。

これまでに問い合わせた場合は、回答内容を不親切に感じることはあっても、レスポンスは非常に迅速(常に当日中)だったため、大きな落差を感じた。官邸が1ヶ月間もかけて、一体何をしようとしているのは分からずじまいで、非常に不気味に感じた。

また、掲載した事前登録申込書を見れば分かる通り、私が記載した署名記事3本のうち2本は、総理会見の閉鎖性や問題点を洗いざらい指摘した内容だ。その意味では、初っ端から“喧嘩を売っている”と判断されても仕方のない内容だけに、それを理由に手続きに支障が出る可能性も危惧していた。もちろん、そうなれば「官邸に都合の良い記事を書く記者だけを優遇している」ことが浮き彫りになるわけだが、この後、予想外の展開が待っていた。