創業70年余で130万個以上売れた

東北一の歓楽街、仙台市国分町。キャバクラやスナックなどがひしめき合うこの街の一角に、昭和レトロな門構えの小さな店がある。ハンバーガーやサンドイッチなどを提供する「ほそやのサンド」だ。

仙台市民に愛されて約70年、老舗ハンバーガー店が守り続けるもの_1
仙台市国分町のど真ん中に店を構える「ほそやのサンド」

創業は1950年。米マクドナルドが日本に初出店する20年以上も前から存在するこの店は、日本に現存する最古のハンバーガーショップと言われており、長い間、仙台市民をはじめ、多くの人たちの胃袋を満たしてきた。

看板商品の「ハンバーガー」(税込350円)だけで、一日40〜50個売れる。創業から70年余りで累計販売数は130万個以上。作り置きをせず、客からの注文が入ってからパテを一枚一枚丁寧に焼く。手間ひまかけたこその美味しさが人気の秘密だ。

「出来立てが一番美味しいからね。それを食べてもらいたい」と、2代目オーナーの細谷正弘さん(69)は話す。

さっそくハンバーガーをオーダーすると、ジューという音とともに、店内には牛肉を焼く香ばしい匂いが充満する。5、6分ほど経って、「お待たせしました」とカウンター越しにお目当てのものが出てきた。

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国産牛を使ったパテは、見た目以上にボリュームがあって、腹持ちがいい

市内のパン屋に特注するバンズに、具材はハンバーグと玉ねぎのスライス、それにオリジナルのソースのみ。素朴だが、後を引く美味しさだ。

「親父の代からいろいろと試してみたけど、結局、オリジナル(ハンバーガー)が一番うまいということが分かったんです」