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資材や職人の調達から安全確保までデジタル・AI化が進む

日本の建設、建築・土木技術は、世界的に見ても質が高いと言えます。
 
一方で、これは他の業界の多くにも当てはまることですが、AIの活用も含めたデジタル、テクノロジーの導入が遅れています。しかし、これから先の未来ではデジタル、AI化が進みます。
 
まずは、資材の手配です。どの現場の、どの作業箇所でどのような資材が必要なのか。これまでは現場監督が、職人などからそのたびにヒアリングし、自らが発注していたのを、AIが代わりに行ってくれるようになります。
 
現場で働く作業員、技術者の調達においても、これまでは現場に行くまでどのような技術やキャリアを持つ職人が来るのか、現場監督は把握できない状態でした。これは日本の建設業界のネックでもある、多重下請け構造が大きく関係しています。
 
この構造を抜本的に変えるには時間がかかるでしょうが、資材と同様、職人のこれまでのキャリアもデータで保存され、現場監督などが閲覧・管理できるようになります。
 
その結果、たとえばトンネル工事であれば、同業務に強い職人をデータから探し出し、アサインすることができる。勤怠管理においても同様です。
 
安全管理においては、現場の各所や作業員のヘルメットにカメラを設置。現場の状況を一元的かつタイムリーに把握することが可能となり、トラブルが生じた際にはすぐに対応できます。

トラブル発見においても、AIによる画像解析技術を使えば、人がモニターの前にずっと座って監視している必要はありません。異常を検知した場合には、アラートを発すればいいのです。
 
トラブルが発生した際にも、カメラが各所に設置されているため、すぐに現場に行く必要はなく、遠隔で状況を知ることが可能です。これはカメラに限ったことではありませんが、スマートウォッチなどとも連動することで、作業員の健康状態も把握できるため、事故防止や健康被害の対策にも、大きく貢献します。

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このようなサービスは、すでに広まりつつあります。2014年に設立したベンチャー、セーフィーがリードしており、鹿島建設や大林組といった日本を代表する大手建設会社の現場で導入が進んでいます。
 
セーフィーについては、カメラといったハードウェア領域に限らず、ソフトウェア領域、クラウド、AIに必要なデータ解析ソリューションなど、映像に関する技術やサービスを包括的に手がけている点も、特筆すべきだと言えます。
 
セーフィーと同じくクラウド、データを積極活用し、工事の業務効率化に寄与するサービスを展開しているベンチャーも出てきています。2012年創業の、アンドパッドです。
 
同社のサービスを使えば、これまで電話やメールなどで行っていた本部と現場監督、作業員とのやり取りがスマホで簡単に行え、管理も同じく簡便にできます。
 
加えて、工事の進捗などの情報、適宜修正が入りがちな図面や工程表、作業員の稼働状況、今後の空き状況などを、クラウドを介することで工事に携わる関係者全員がタイムリーに共有できます。
 
アンドパッドも先のセーフィーと同様、数多くの工事現場で導入が進んでいます。