大合唱で騒ぎ始める
予定通り11時半から式典が始まり、正午で終了。式典が終わると、入り口を仕切っていたテントもクローズ。するとそこここらで盛り上がる集団が出てき始めた。
「こっくら! こっくら! 八幡の奴らはかかってこいやー!」(20歳・建築)
板櫃や門司など、小倉北区地区の中学校同士で集まり騒ぐ一団。スピーカーからは、重低音が流れ、一際目立っていた。彼らが騒ぎ始めると、取材陣やカメラを持った人たちも集まり、人だかりが出来てくる。正直これを求めていた…!というギャラリーたちも多かったように見受けられた。
「撮っていいすよー! 20歳になったので、初めて飲んでます」(20歳・建築)
拡声器からずっとサイレンが鳴り続けていた七色の青年。彼の衣装費はなんと全額で70万円だとか。その甲斐あってか彼も多くの人に写真を撮られていた。
こちらもRKB(福岡毎日放送)や、フジテレビ、そしてYouTuberらしき人などから、次から次に取材に追われていた猛者。頭の上にはあのキャラクターが鎮座!
「テーマはなずなワールドです! もう疲れたけ写真だけでいいですか(笑)? でもかわいく撮ってくださーい!」(20歳・職業不詳)
なかなか怖そうな一団だが、見た目に反して、すごく優しい彼ら。散り散りになっていた仲間をわざわざ集めて、快く撮影に応じてくれた。
「タバコ吸ったままでいいっすよね?(笑)」(20歳・建築)
「集英社? 俺ら毎週ジャンプ買いようよ!」 (20歳・建築)
旗を揺らし、陽気に取材に答えてくれた二人。ONE PIECEが大好きとのこと。
「お世話になった人に」とお花を渡し合うグループや、大きな幟を地面に敷き、集合写真を撮る人々も。
祭りの後の少し寂しいような、爽やかな雰囲気の中、最後に北九州の名門校、小倉高校出身の落ち着いた4人に話を聞くことができた。自分達の地域のド派手な成人式について尋ねてみると、
「僕らは親のお金で大学に行かせてもらい、スーツも購入してもらっています。でも袴を着ている人たちはもう働いていて、自分でお金を出していると聞きます。だから同い年なのにすごいなっていうリスペクトの気持ちが大きいですね」(20歳・大学生)
9時半に開場してから3時間半後の13時、会場となったメディアドーム前から警備員たちが式典参加者を場外に出し始める。楽しかった記念のひとときももう終わりだ。
ド派手な衣装に身を包んだ彼らは確かに少し迫力がある。だが話しかけてみると、皆優しく気さくで、素晴らしい笑顔を見せてくれた。
彼らの未来に幸多きことを願う。
撮影/篠原祐介