食べ物は歯ざわり、舌ざわりを想像しながら描く
――画業生活15周年おめでとうございます。数多くのグルメ漫画を手掛けてきた魚乃目先生ですが、これまでに描かれてきた食の絵はどれも美味しそうなものばかり。美味しそうに描く秘訣はあるんでしょうか?
口に入れたときの歯ざわり、舌ざわりを想像して描きますかね。「これどんな食感がするんだろう」って思いながら描くと、自分としても食欲が湧いてくるんですよ。
だから漫画では実物の食べ物よりも大きく、わかりやすく描こうとしていますね。たとえば米を描くときは、米粒を大きくするなどの工夫をしています。
米粒を実物通りに描いてしまうと小さくなりすぎてしまって、食感が想像しづらくなってしまうので。
――必ずしも実物に忠実に描くわけではなく、あえてデフォルメさせている部分があるわけですね。
これまでに食に関する漫画をたくさん描いてきてなんなんですが、自分はあまり食にこだわりがあるほうではないと思っていたんです。
けど、いざ思い返してみると、やはり自分なりのこだわりがあるんでしょうね(笑)。
細かいところなんですが、絵を描くときに“一口、二口の変化を足す”のもそのこだわりの一部なのかもしれません。
作画の例を挙げると、焼き上げたさんまが食卓に並ぶじゃないですか。そこにポン酢や醤油を垂らすだけでは少し物足りないので、大根おろしやネギなどちょい足しするんですよ。そのほうがハッピーだし美味しいと思うので。