作品だけでなく、監督の背景にも注目
一方、10月29日からスタートする東京フィルメックスのアジアの新進監督を対象にしたコンペティション部門には、共に本年度のカンヌ国際映画祭「ある視点部門」にも選ばれた2作。パレスチナ代表のマハ・ハジ監督『地中海熱』(2022)と、カンボジア代表のダヴィ・シュー監督『ソウルに帰る』(2022)だ。
『ソウルに帰る』の監督は、フランス生まれのカンボジア人。映画は自身の半生を下敷きにし、フランスで養父母に育てられた韓国人が初めて韓国を訪れ実の両親を探す物語。監督の生い立ちも含めて注目されそうだ。
ほか、Prime Videoではアルゼンチン代表のサンティアゴ・ミトレ監督『アルゼンチン1985 〜歴史を変えた裁判〜』(2022)が配信中。Netflixでは10月28日からドイツ代表のエドワード・ベルガー監督『西部戦線異状なし』(2022)が配信される。
ハッキリ言って、今回の米国アカデミー賞国際長編映画部門は、韓国代表パク・チャヌク監督『別れる決心』(2022・2023年公開予定)や、ポーランド代表イエジー・スコリモフスキ監督『EO』(11月22日〜27日に東京都写真美術館で行われるポーランド映画祭2022で上映)あたりが強敵だと思うのだが、各国代表作を知れば、2023年3月12日にドルビー・シアターで行われるアカデミー賞授賞式がさらに楽しめるに違いない。
文/中山治美