ファンタジーの中にもリアリティがある

SNSをやめた杉咲花「私のあふれる思いはお芝居で昇華するしかない」_1
『ぼくらのよあけ』杉咲さんが演じた悠真(右)と、悠木碧さんが演じた家庭用ロボット・オートボットのナナコ
©今井哲也・講談社/2022「ぼくらのよあけ」製作委員会
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──『ぼくらのよあけ』の台本を初めて読まれた時の感想を教えてください。

宇宙との繋がりを感じられる夢のある物語であると同時に、大切なものをピュアに信じ続ける主人公の姿はどこか現実的でもあって。ファンタジーの中にリアルが存在している、その不思議なバランスが魅力的な物語だと感じました。

──杉咲さんが声の担当をする悠真の印象は?

何が起こるか分からなくても、行動を起こしてみようとする姿勢が素敵だなと感じました。事前にいただいていた悠真のイメージ画を拝見しながら、人物像について想像を巡らせる時間はワクワクしましたが、生命力溢れる勇敢な悠真を演じることへの緊張感もありました。

SNSをやめた杉咲花「私のあふれる思いはお芝居で昇華するしかない」_2

──声優の難しさや、おもしろさは?

監督から「少し声のトーンを落としてください」という演出をいただいたのですが、悠真としての実感を手放さないように、そしてトーンも意識する、という両立に苦戦した場面がありました。

極めて静かな空間で、そのキャラクターの動きや心情を息使いや声のみで表現するという難しさを改めて感じました。同時に、そういったディテールの積み重ねによって、物語に奥行きが生まれることに魅力を感じたり。普段あまり触れられることのない想像の世界の領域にお邪魔させていただけたことは、特別にワクワクする時間でもありました。

そして、特に同じシーンが多かった(オートボットのナナコ役を演じた)悠木(碧)さんとご一緒させていただけたことで、ナナコとの時間をひとつひとつ噛み締めながら思いを膨らませていくことができました。台本を読んでいたとき以上に、豊かなところへ連れて行っていただけた感覚があります。