惜しくも4年ぶりの春夏連覇を逃した大阪桐蔭

2011年から2022年までの間に、春夏連覇を達成したのは大阪桐蔭、ただ一校のみ。2012年に、藤浪晋太郎(現・阪神タイガース)・森友哉(現・埼玉西武ライオンズ)の強力バッテリーを擁し、学校初の春夏連覇を達成。さらに2018年にも、高校野球史上初めて2度目の連覇を成し遂げた。

今年センバツを制覇した大阪桐蔭は4年ぶりの春夏連覇を目指したが、準々決勝で下関国際に敗退。それでも「常勝チーム」として大きなインパクトを残した。本記事では2012年と2018年の戦略を分析し、その強さの源泉に迫る。

藤浪・森の強力なバッテリーで初の春夏連覇を果たした2012年

2012年の大阪桐蔭は、夏の甲子園で一度もリードを許さず、相手を寄せ付けない力の差を見せつけた。
下記が戦績と選手の成績である。

・大阪桐蔭(2012年夏)大会戦績

決勝  :大阪桐蔭 3-0 光星学院
準決勝 :大阪桐蔭 4-0 明徳義塾
準々決勝:大阪桐蔭 8-1 天理
3回戦  :大阪桐蔭 6-2 済々黌
2回戦  :大阪桐蔭 8-2 木更津総合


・大阪桐蔭(2012年夏)選手成績

打撃成績

2 森友哉 打率.400 2本塁打 2打点
4 大西友也 打率.200 0本塁打 2打点
9 水本弦 打率.421 0本塁打 4打点
3 田端良基 打率.389 2本塁打 5打点
7 安井洸貴 打率.429 0本塁打 4打点
5 笠松悠哉 打率.353 1本塁打 5打点
8 白水健太 打率.100 1本塁打 2打点
6 妻鹿聖 打率.091 0本塁打 0打点
1 藤浪晋太郎 打率.267 1本塁打 1打点
チーム打率.295

投手成績


藤浪晋太郎 36回 49奪三振 防御率0.50
澤田圭佑 9回 5奪三振 防御率2.00
チーム防御率0.80

この年の夏の甲子園における藤浪は、歴代最高の優勝投手と言っても過言ではない。初戦から危なげないピッチングをみせ、準決勝と決勝は完封勝利を挙げた。藤浪の2番手として控えていた澤田(現・オリックスバファローズ)も、トップレベルの実力だった。主要投手2人がプロ入りするレベルの投手陣には、対戦する相手チームもお手上げの状態だったのではないだろうか。

2人の投手陣を援護する打線は、数字的な意味で派手さはないものの、西谷浩一監督
が「高校までに見てきた中で、一番いいバッター」(https://dot.asahi.com/amp/dot/2019091200005.html)と評価していた森が一番に座る。初回から森に打席が回ることも、相手には大きなプレッシャーになっただろう。

2005年と2006年に夏連覇を果たした駒大苫小牧や、2010年に春夏連覇を成し遂げた興南と比較しても、この年の大阪桐蔭は選手個人の力が高いことがわかる。当時の藤浪や森のプレーを見ると、プロ野球選手が高校生と一緒にプレーしているように見えた。