「写真家」は「作品」として写真を撮る者
それに対して写真家は多くの場合、作家性の高い写真を撮る者をそう呼ぶ。写真作家という言葉が使われることもある。いわゆる「作品」として写真を撮る者をこう呼ぶと考えてもらって間違いない。ちなみに私にとって、あるいは同世代にとって写真家のイメージは、かつてとても恐れ多いものだった。土門拳や木村伊兵衛といった著名な方を指すものだとずっと思っていた。
だから私が20代の頃、自分の世代が写真家と名乗ることは絶対になかった。
写真家は、基本的には「自分発」である。自分の思考、想像力を駆使してどこへ行って何を撮影するのか、どんな方法でそれを行うのか、どう発表するのかを考える。カメラマンが撮る写真に対して、より本人のオリジナリティ、思考、思索などが反映されている写真といってもいい。
写真家と呼ばれる者の多くは、組織などに属していないことが多いのも特徴だ。ただし、写真教育に携わりながら作品を撮っている写真家は一定数いる(作品だけでは生活できないという意味でも)。
誤解してほしくないのは、どちらが優れているとか劣っているなどということは一切ないということだ。単純に得意分野の違い、志向、嗜好、思考、ライフスタイルなどを含めた選択の違いといえるだろう。