ウエストで締めず「丹田」を意識できる構造のパンツ
「一般的なパンツはウエスト部分で履くものがほとんど。でも身体構造上は、ウエストの部分は弱い部分なんですよ。2020年から身体講座に通っている、日本身体文化研究所の矢田部英正先生に、ウエスト部分は締めず、骨盤の部分で絞めると身体が安定し、自然な状態でいられると教わりました。東洋では“上虚下実”と言って、上半身はリラックスし、下半身はどっしりと満ちているのが理想。でも現代の私たちは真逆になりがち。デスクワークやスマホ・パソコンを見る時間が多く、上半身ばかり使ってガチガチに固まっていたり、下半身は動かすことが少なく、むくみやすかったり。上下逆転してしまった体を自然な状態へ導き、足元から健やかにできるアイテムを作ろうと思いました」
リラックスウェアの場合、オフィススタイルに馴染まないものが多い中、「RELIEFWEAR」は働く女性のためのデザインやパターン、素材にもこだわりました。不調を感じながら働いている人も多く、仕事場や日々の生活で無理なく取り入れられるデザインであることも大事にしています。
ウエストではなく、体の中心と言われる丹田にベルトループやバックルを置くことで、自然と丹田を意識できる構造に。骨盤の位置で締めて履くことで、ウエストを締め付けないようにしています。丹田に着目したことから名称は「TANDEN PANTS」、紐で結ぶタイプと、ベルトで絞める“HIBI”の2種類です。椅子に座った時、裾から冷気が入るのを防ぐためにボトムの前部分を長くしたり、お腹部分にカイロを入れられるポケットを付けるなど工夫も凝らされています。サイズは1サイズ、腰部分のベルトやゴムで調節可能で、妊婦さんや男性も履けます。空気をまとうような軽やかな履き心地は、一度履くとやめられない心地よさです。
「日本古来の衣服はサイズレスで腰紐や帯を使って、調節するんですよね。人間が衣服に合わせるのではなく、衣服が人間に合わせてくれたり、力を引き出してくれる。日本の伝統的な考えに近いものづくりをしたいと思い、それに倣い『TANDEN PANTS』も1サイズ展開で作っています。当初は、女性向けに考えていましたが、男性で気に入ってくださる方もいて。お客さまもさまざまで、インスタグラムを見て試してくださる方、病気で治療中という方、デザインが気に入って購入される方。若い方からご年配の方まで、年齢層も幅広いです」
ゴム跡がつきにくく、色数が豊富な靴下
靴下は「KAIHO SOCKS(カイホウソックス)」という名称で3タイプを展開。締めつけのない定番の「KIHON」、通気性のいい「TSUKI」、伸縮性のある凸凹編みの「SHINSHUKU」。サルビア時代に出会った、新潟の「くつ下工房」の上林さんがご両親の介護のために作った靴下の編み方をベースにしました。足首にゴムが入っていないため締めつけず、ゴム跡がつきづらい。冷えに効くツボ「三陰交」がある部分を2重仕立てにし、足首を温かく包みます。
もともと足のむくみを感じていた鳥羽さんは、ずっと靴下のゴムの締めつけに悩まされていました。でも「くつ下工房」の作る靴下と出会って、その悩みから解放されたそう。オリジナルで作るにあたり、履き心地や機能はもちろん、それ以外にも大事にしていることがあります。
「色の持つ心への作用も大事にしていて、靴下は異なる色の表糸と裏糸を使ってニュアンスのある色を表現しています。理想の色に近づけるため、試作を何度も繰り返したもの。色が持つ力を大事に、気持ちに寄り添ってくれるカラーを作っています。自然の景色や風景からインスピレーションを受けたものが多く、色名にもそれを採用しました」
夜明けの空をイメージしたピンクは「AKE」、大地の安定感をイメージしたブラウンは「DAICHI」、雨上がりの青空を感じる水色は「HARE」、窓から降り積もる雪をイメージした「YUKI」。定番の7色に加えて、パープルやイエローなどの新色も加わり、着こなしがより楽しくなります。
「身に着けることで心も華やかになって欲しいと願って作っています。体をいたわるためのアイテムとなると、どうしてもベージュなど落ち着いたナチュラルカラーになりがちです。心と体は実はつながっていて、明るい色を身に着けると心も自然と明るくなります。気持ちを内側から湧き立たせてくれるようなものを作りたいという思いもあります」