“ポスト・プーチン”を支える3人の最重要人物
なお、同分析では、変化は肩書の変更よりも、担う機能の拡大や縮小というかたちで起きているという。キリエンコ、マントゥロフ、ノヴァク、オレシキン、シュヴァロフは主に機能を広げたのに対し、ベロウソフとミシュスチンは、肩書はそのままに機能を少しずつ削られたとみられる。
以上が同レポートの分析だ。数値の伸びだけを見れば、上半期に最も勢いがあったのはクラスノフ、マントゥロフ、ノヴァクの50代3人である。ただ、今後の“代官”体制の中核という観点から私が特に注目しているのは、ソビャーニン・モスクワ市長、デュミン国家評議会書記、マントゥロフ第1副首相の3人だ。
ソビャーニンとデュミンの伸びはまだ小幅だが、同レポートも、ソビャーニンが連邦レベルで存在感を強め、デュミンが国家評議会を足場に影響力を広げていると指摘している。
ソビャーニンは68歳と若手ではないが、長く地方行政畑を務めた後、47歳で大統領府長官に抜擢された、実務能力に定評のある人物である。このままロシア経済の低迷が続き、ミシュスチン首相の影響力がさらに低下すれば、ソビャーニンが“代官”のトップに浮上する可能性もある。
年齢的にいずれ若い世代に追いつかれる可能性が高いが、プーチンの健康状態次第では、万が一の時に集団指導体制の舵取り役を一時的に務めるかもしれない。
他方、デュミンとマントゥロフはキャリアの出発点が対照的な2人だ。デュミンはもともと若手時代にプーチンの警護官となったことから気に入られ、プーチンが後ろ盾となって特殊部隊幹部から軍幹部に大出世を遂げ、それから政治家に転身した人物だ。
プーチンとの人間関係の近さが圧倒的で、軍に人脈もあることから、一時は後継者候補とも噂された。ただ、単なるプーチンのお気に入りというだけではなく、政界でも特に大きな失敗もなく実績を重ねており、やはり今後のキーマンであることは間違いない。ロシアでは表向きの役職より軍・治安機関系との関係も大きな影響力の源泉となるが、その点でも有利な立場にいる。
それに対して、マントゥロフ第1副首相は産業界の実務畑を長く経験した経済政策運営の実力が高く評価されている。今後もプーチンが対ウクライナ侵攻を止める気配はなく、ロシアではこれからも戦時経済が長く続くが、マントゥロフの影響力はまさに彼の手腕にかかっているとみていいだろう。
取材・文/黒井文太郎












