未払いを続けると「強制執行」に至るケースも
では、NHK受信料を支払わなかった場合、どうなるのか。
ここではまず、「未契約」と「契約済みだが未払い」は分けて考える必要がある。
すでに受信契約を結んでいるにもかかわらず受信料を支払っていない場合、NHKは文書や電話、訪問などで支払いを求め、それでも解決しない場合には、裁判所を通じた支払督促などの法的手続きを取ることがある。
NHKが2026年7月24日に公表した資料によると、同年6月末までに、受信料未払い者に対して行なった支払督促の申立ては累計1万3320件。
このうち、相手側から異議申立てがあり、訴訟に移行したものは5420件だった。
さらに、支払い義務が確定した後も支払いがない場合などに行われる強制執行の申立ては累計1803件。実際に強制執行が実施されたケースは565件で、261件では全額、304件では一部を回収したとしている。
一方、そもそも受信契約を結んでいない世帯に対しても、NHKは契約締結などを求める訴訟を起こしている。
2026年6月末までの未契約世帯への訴訟は累計666件。このうち604件は解決済みで、58件では判決が出ており、4件が訴訟中だった。
さらに2023年4月からは、正当な理由なく期限までに受信契約を申し込まなかった場合などに、通常の受信料に加えて「割増金」を請求できる制度も始まっている。
金額が大きくなりやすいのが、ホテルや旅館などの事業所だ。
2026年9月10日には、NHKが滋賀県で宿泊施設を経営する事業者に対し、受信料の支払いを求めて東京地裁に提訴した。
NHKによると、この事業者が結んでいた衛星契約は50件。未払い期間は8年10か月で、未収金額は約1140万円にのぼった。
家庭の場合、受信契約は原則として世帯ごとだが、事業所は仕組みが異なる。ホテルや旅館では、テレビなどの受信機の「設置場所」ごとに契約が必要になるため、客室数に応じて複数の契約が必要になるケースがある。
かつて、NHK受信料をめぐる議論では「訪問員が家に来た」「テレビを持っているか確認された」といった話が中心だった。
しかし現在は、デジタルや郵便、電話による案内に加え、外部事業者による訪問業務も再び広がり始めた。
さらに、テレビを持たない人でも、NHK ONEの対象サービスを利用すれば契約が必要になる場合がある。
「テレビを持っている人が払う」というだけでは説明できなくなったNHK受信料。
受信契約数が減少するなか、NHKは「訪問」という従来の方法と、「ネット」という新たな接点をどう組み合わせていくのか。
2026年秋の動きは、受信料制度が新たな局面に入ったことを示している。
文/集英社オンライン編集部













