カネを配った者、カネを貸した者

クールジャパン機構は540億円の累積赤字を出した。それでも、新たな国家戦略が動き出している。公的資金を投入した事業が期待した成果を上げなかったとき、その投資判断はどこまで検証され、誰が責任を負うのか。この点を曖昧にしたままでは、同じような公的支援が繰り返されかねない。

クールジャパン機構の累積赤字の推移
クールジャパン機構の累積赤字の推移

話はジャングリアに戻るが、森岡氏や刀だけを批判して終わる話ではない。巨額の政府系資金がジャングリアに届くまでには、出資を決めた者がいて、融資を決めた者がいる。

まず、出資した側だ。クールジャパン機構は「官民ファンド」を名乗る。だが出資金1513億円のうち、政府出資は1406億円。約93%が政府のカネだ。これを「官民ファンド」と呼ぶ以上、民間投資以上に、その投資判断について国民への説明責任が問われるのではないか。

公的支援の仕組みは、ほかにもある。内閣府の沖縄振興特定事業推進費だ。2019年度予算で新設された制度で、当時の担当大臣は、自民党沖縄振興調査会での議論なども踏まえて設けたと説明している。

市場で問われる事業を、公的資金でどこまで支えるのか

この補助金で、内閣府はジャングリアの運営会社に2024年度2935万1000円、2025年度1億6242万9000円の交付を決めた。名目は「高度観光人材育成支援施設整備事業」で、観光人材を育てる研修施設の整備だ。融資と違い、補助金は原則として返す必要がない。

もちろん、政策金融や補助金には、民間だけでは資金が回りにくい事業を支えたり、地域経済や雇用などの政策効果を生み出したりする役割がある。

しかし、それならなおさら問われるべきなのは、その公的支援によってどれだけの効果が生まれたのか、そして支援を決めた時点の事業計画や需要予測が妥当だったのかということだ。税金や政府系資金で民間ビジネスをどこまで支えるのか。その線引きは、厳しく問われなければならない。

なぜ政治家は、ここまで公的資金を民間事業に投入するのか。積極財政を経済成長につなげようとする政策には一定の合理性がある。一方で、公的資金を使う以上、その効果や失敗時の責任を曖昧にしていいはずはない。

消費税などの安定財源を背景に政府の歳入が確保されているとしても、それが個々の支出の妥当性を保証するわけではない。公的支出だからこそ、投資や融資、補助金の効果を厳しく検証する仕組みが必要なのである。