成果文書にみる「米中が優先したもの」
高市氏は昨年11月7日の衆議院予算委員会で、台湾有事について、戦艦を使った海上封鎖など武力行使を伴うケースでは、日本の「存立危機事態」になり得るとの認識を示した。ただし、実際の認定は個別具体的な状況に応じて判断するという、従来の政府見解に変更はないと説明している。
日本が安全保障上の重大な問題と捉える台湾を、米大統領が中国との交渉でどう扱うのか。今回の会談を巡る最大の焦点はそこにあった。
米中首脳会談に先立つ9月21日、日米韓の外相はニューヨークで会合を開き、会談後の三カ国共同声明で、両岸問題の平和的な解決を求め、一方的な現状変更の試みに反対する立場を確認した。日米首脳も、中国を巡る問題で緊密に連携することで一致している。
ここで問われるのは、事前に確認した原則が、米中首脳同士の交渉の場でどこまで重みを持ったかだ。
成果文書を読むと、米中が何を優先したかが見えてくる。
米政府がAIに代わる呼称として採用した「超知能(SI)」のリスクと利点を話し合う米中対話の設立。中国による米国産石炭の2027年、28年それぞれ1000万トン以上の輸入。
イランに核兵器を持たせないことや、国際水路での通航料徴収を認めないことの確認。国際水路の項目はホルムズ海峡を念頭に置いたものとみられ、エネルギーの多くを中東に頼る日本の利益とも重なる。
日本へのレアアース輸出は、中国による規制の影響を受けてきた。米中の間でも、レアアースの供給は貿易交渉の重要な争点だ。成果文書は、レアアースなど重要鉱物の供給不足を巡る米国の懸念に「引き続き取り組む」と記すにとどめた。規制の扱いがどう決着するのかは、日本向けを含めてまだ見えない。
中国が米国との協議では規制の扱いを交渉しながら、日本には厳しい姿勢を続けるなら、日本は米中双方の思惑に左右される。
米中の合意が日本向けの供給改善につながるのか。それとも米国向けだけが優先されるのか。日本にとっては、首脳同士の演出以上に、その結果を見極める必要がある。
レアアースは製造業を支える資源だ。供給を絞られた側は、在庫や代替調達先を探しながら先行きを見通さなければならない。供給する側は、規制を緩めること自体を交渉の成果として示せる。中国が同じ資源を相手ごとに異なる外交カードとして使えるなら、日本の企業活動も米中交渉の結果に左右されかねない。
習氏はワシントンで国賓として迎えられ、米中が日本と戦った歴史を両国の友情の象徴として語った。その歴史は、米政府の成果文書にも書き込まれた。













