「真正面から撮る学級写真はディープフェイクなどの素材として悪用される」

では、なぜA小は学級写真を廃止したのか。

運動会などで撮影するスナップ写真は継続する一方、学級写真だけを廃止した理由について、A小学校の担当者はこう説明する。

「学級写真というのは『学級が特定されるように、欠席者も含めて全員が確実に順番に載っている』ものであり、さらに『正面から、真面目な形で載っている』ものです。そういった写真は、横からや斜めから撮ったスナップ写真よりもリスクが高いと考えました」

学校側が懸念するのが、AI技術を使った画像加工などへの悪用だ。

「今の時代はAIがすごく発達しているので、勝手に切り取られて販売されたり、スキャナーで取り込まれていかようにも加工されたり、インターネットで流用・悪用されてしまうリスクがあります。『正面からの写真で全員が載っている』というのは、加工などのリスクが高いと判断し、まずはそこをなくそうと考えました」

近年、卒業アルバムを悪用した性的ディープフェイクも問題になっている ※画像はイメージです(写真/PhotoAC)
近年、卒業アルバムを悪用した性的ディープフェイクも問題になっている ※画像はイメージです(写真/PhotoAC)

さらに、学校側が学級写真の扱いを考えるきっかけの一つになったというのが、昨年、名古屋市で発覚した教員らによる児童の盗撮・画像共有事件だった。

2025年、名古屋市立小学校の元教諭が、女性のリュックに体液をかけたとして器物損壊容疑で逮捕された。その後の捜査で、複数の教員が参加するグループチャットで、女子児童らを盗撮した画像などが共有されていたことが発覚。生成AIを使って作成された女児の性的な画像をめぐる問題も明らかになった。

A小学校の担当者はこう振り返る。

「昨年の夏の段階で市教委の方から盗撮案件があったため、写真の撮り方や保管の仕方(を確認してください)といった指示がまず来ていました。その中で『写真そのものを学校現場でどのように扱っていくのか』が示されたことが、今回の廃止を考え始めたきっかけの一つです」

学校側によれば、事件を受けた市教委からの通知も踏まえ、「真正面から撮る学級写真はディープフェイクなどの素材として悪用されるリスクが高い」と判断したという。