『飯塚次第』との声も…浮き彫りになった5人審査の難しさ
つまり審査員は、公平に点数をつけるレフェリーではない。ファイナリストと並ぶ出演者であり、番組を動かす登場人物でもある。
一方、キングオブコントは、まだ審査そのものをM-1ほどのエンターテインメントにできていない。「この人は何点をつけるのか」という期待感と、意外な点数でも「この人なら仕方がない」と思わせる納得感。テレビの賞レースには、その両方が必要だ。
その意味でも、7人制は重要な改革になる。
5人制では、一人が持つ点数が総得点の20%を占める。独自の基準で大胆に点差をつければ、その一人が順位を決めたように見えやすく、審査員がどうしても萎縮してしまう。
象徴的だったのが2024年大会だ。飯塚の採点幅は91点から98点までの7点、ほかの4人は4~5点。飯塚を除く合計では4位だったファイヤーサンダーが、飯塚の点を加えると1位へ浮上し、ネット上では「飯塚次第じゃん」との声も上がった。
しかし、飯塚の7点差は本当に極端だったのか。同じ年のM-1では、9人中6人が7点以上の幅の点数をつけている。M-1なら普通の採点だったのだ。
問題は飯塚が点差をつけたことではない。ほかの点差が小さく、5人しかいないため、一人の個性だけが必要以上に結果へ反映されて見えたことだ。「飯塚次第」は、裏を返せば、ほかの点数発表にはドラマがなく、審査員の個性が消えていたともいえる。
2024年に初めてM-1審査員を務めたオードリー・若林正恭は、『あちこちオードリー』(テレビ東京系)で、審査員が9人に増えたことも依頼を受ける後押しになり、「9枠の1だったら全然正直にやっちゃおう」と考えたと明かしている。
人数が増えれば、それぞれが批判を恐れず、自分の基準を出しやすくなる。異なる基準を持つ7人が思い切って点差をつければ、公平感が増すだけでなく、採点そのものが番組の見せ場になる。
では、新たに増えた二つの審査席へ座るのは誰か。
昨年までの5人は全員がキングオブコント王者だ。その方針を続けるなら、かもめんたる・岩崎う大、昨年王者のロングコートダディ・堂前透、ほかにはジャルジャル・後藤淳平、ハナコ・秋山寛貴あたりが本命だろう。
ただし、「大会で優勝したこと」と「テレビで審査員として見たいこと」は同じではない。重要なのは採点技術の優劣だけではなく、視聴者がその人の点数を知りたくなるか、そして「この人なら仕方がない」と受け止められるかだ。


















