「治療費も全部出すから、アメリカに来てほしい」
──ツアーガイドは、収入面でも恵まれているのでしょうか。
若い頃にやっていたレースクイーンだと日給が1万円ちょっとの日もありましたが、海外の富裕層向けのツアーガイドをやっているため、1時間で1万円くらいは稼げますね。ただ、丸一日業務があるわけではないため、時間数は短いのですが。
収入以上にやりがいを感じるのは、お客様との距離感が非常に近く、人間と人間として向き合えることだと思います。
──人生を変える出会いもあった。
まさしく。転移がわかったとき、私には配偶者がいました。会社員で、とても理解のある、優しい男性です。2025年の秋頃、仕事でアメリカ在住のアイルランド人のお客様をご案内したとき、「11月にニューヨークにおいでよ」とお誘いを受けました。夫は束縛をしない人なので、「行っておいで」と快く送り出してくれました。
現地では、これまでお世話になったアメリカ在住のお客様に再会することができました。夜はパーティーをして、とても充実した日々を過ごすことができました。
その後、今年2月にそのお客様にヨーロッパに連れて行っていただきました。そのとき、お客様から「真剣に交際したい」と申し込まれたんです。
──ちょっと待ってください。Nanamiさんはその時点では既婚者では。
おっしゃるように、当時私は結婚をしていて、特に夫婦関係に不満はありませんでした。ただ、お客様のまっすぐな気持ちに心が揺れる自分も確かにいました。
お客様に病気のことを伝えると、「治療費も全部出すから、アメリカに来てほしい」とおっしゃり、その寛大さに心を打たれました。私は乳がんの手術をし、右胸も切除したため半分ほどしかありません。日頃は、靴下を突っ込んで形を整えているんです。
「いっそのこと、左胸を右胸の大きさまで小さくしたい」と医師に言いましたが、「感染のリスクがあるからダメ」と言われたくらい、気にはしているんです。
まして、その後に肝臓にも転移してしまった、ステージ4の患者です。それを伝えても、彼は嫌な顔をせずに「好きだから、関係ない」と言ってくれました。その誠実さにも心を打たれて、私も真剣に答えたいと思い、帰国してすぐに夫に伝えました。
──旦那さんの反応は。
少し沈黙したあとに、「いいよ」と言ってくれました。「自分では最先端の治療を受けさせてあげられないし、そこまで言ってくれる人なら、いいかもね」と。それで離婚は円満に成立し、9月下旬からアメリカで治療を受けることになっています。













