粛清しすぎて「重要戦区」に陸軍出身の司令員がいない!?

では、これほど軍上層部が混乱するなかで、中国は実際に台湾へ大規模な軍事作戦を行なえるのだろうか。

中国は2016年、それまでの「七大軍区」を廃止し、東部、南部、西部、北部、中部の5つの「戦区」に再編した。

このうち、台湾海峡や東シナ海方面を担当するのが東部戦区だ。有事の際には、対台湾作戦の中心になるとみられている。

米国防総省が作成した中国人民解放軍・東部戦区の配置図。東部戦区は台湾海峡や東シナ海方面を担当し、有事には対台湾作戦の中心になるとみられている(出典/U.S. Department of Defense/Public Domain)
米国防総省が作成した中国人民解放軍・東部戦区の配置図。東部戦区は台湾海峡や東シナ海方面を担当し、有事には対台湾作戦の中心になるとみられている(出典/U.S. Department of Defense/Public Domain)

上田氏によれば、相次ぐ粛清で軍幹部の交代が進むなか、5つの戦区のうち、後任の司令員が公開情報で確認できるのは東部戦区と中部戦区だけだという。しかも、2人とも空軍出身者だ。

「台湾侵攻では、陸上部隊の大規模な展開や上陸作戦が必要になります。それなのに、重要な戦区に陸軍出身の有力者を配置していない。あるいは、配置したくてもできない。

これは、習近平氏が陸軍の将軍たちに強い不信感を抱き、政治的に信頼できる後任を見つけられなくなっている可能性を示しています。同時に、相次ぐ粛清によって、陸軍の人事系統そのものが崩れているとも考えられます」