当時から批判されていたのは事実

「『爆烈お父さん』は、『めちゃイケ』で『狂犬』と呼ばれた加藤浩次が理不尽なことで怒る頑固オヤジを演じる、家族コントをベースにしたコーナーでした。

Xで流布している切り抜き動画にはありませんが、ジャイアントスイングを何度も繰り返したお父さんが体力を使い果たして倒れ込み、家族からぞんざいに扱われる、という展開まで含めて“お約束”でした。加藤演じるお父さんのそんな『ダメさ』を含め、視聴者は笑っていたように思います」

つまり、現在拡散している映像だけを見ると、加藤が一方的にゲストへ乱暴な行為をしているように映るが、最後には父親自身が力尽き、立場が逆転するところまでが一連のコントだった。

とはいえ、「コントだった」「昔のテレビだった」の一言ですべてを正当化できるわけでもない。

今回拡散された回は、2013年の『FNS27時間テレビ』で放送された「生爆烈お父さん27時間テレビスペシャル!!」。放送後、BPOには多数の視聴者意見が寄せられ、同機構の青少年委員会でも審議された。

飲用氏もこう指摘する。

「当時から批判されていたし、当時の基準で見ても問題だった点も考慮すべきです。そうでないと、当時の文脈を無視して一部だけを抜粋し批判するという点で、『切り抜き』と同じくバランスを欠くように思います。実際、同番組には熱心な視聴者であっても違和感を覚えるシーンは、当時からしばしばありました」

加藤自身も、過去の「爆烈お父さん」を無条件に肯定しているわけではない。

2020年に佐久間宣行氏のラジオ番組へ出演した際には、企画が次第にエスカレートし、「もっと! もっと!」と過激になって感覚が麻痺していったと回顧。SNSによって不満に思う人の多さを知ったうえで、「昔はよかったとはあんまり思わない」と振り返っている。

つまり、「平成だからみんな許していた」わけではない。当時から違和感を抱いていた視聴者はいたし、出演者自身も後になって、その過激さを省みている。

だからこそ、現在の感覚から昔のテレビを見直し、「これは過激だったのではないか」と考えること自体には意味があるだろう。

ただし、過去の映像を改めて取り上げるなら、その後まで含めて見る必要もある。