独裁者は「愛される顔」をつくる
独裁を志すリーダーにとって、人びとから愛されることは何よりも重要なことです。
辣腕を振るう経営者が社員の誕生日を祝ったり、社員と食卓を囲んだりするような微笑ましいエピソードは事欠きませんが、政治学の観点から見れば、こうした行動は社員から愛され、自らの地位を固めつつ、思うように職務を遂行するためのものであるとも言えます(ほとんどは本当に善意だとは思いますが)。
世界の独裁者はこうした方法を巧みに利用します。たとえば、ロシアのプーチンは、プーチン・ホットラインというテレビ番組を通じて、人びとへの親しみやすさを演出しました。国民から直接悩み相談を受けた大統領が、その場で対処を約束するのです。
その内容は住居に関することや、ごみ問題など多岐にわたります。これにより、人びとは大統領に対する親しみやすさと同時に、頼もしさを感じたでしょう。
こうした手法は他の国でも取り入れられており、ベネズエラのチャベスは、「アロー・プレジデンテ(もしもし大統領)」という番組に出演していました。
また、ヒトラーもアイドルとしての一面と、庶民派としての一面を利用していたとされます。当時は彼の写真集も販売され、そこでは子どもとのふれあいや、職務では見られないような親しみやすい姿が強調されています。こうした姿はナチス時代のドイツのプロパガンダ映画として有名な『意志の勝利』からも垣間見ることができます。
毎年恒例となっているプーチンのカレンダーでも、彼の年齢を思わせぬ肉体美や、くつろいだ姿が見られ、人びとの心に届くような演出が凝らされています。
トルクメニスタンのサパルムラト・ニヤゾフは自身の好物であるメロンにちなんだ「メロンの日」(8月の第2日曜日)を設定し、人びとに祝日としてメロンに親しんでもらうことで自身の親しみやすさもアピールしていました。
人びとから愛され、認知してもらうために、スタイルの確立の重要性を説く論者もいます。服装、髪型、ひげなど、一目でわかるスタイルを確立した独裁者は、どこにいても人目を引くこととなり、それが人びとに認知され、愛されるきっかけとなるかもしれません。













