お笑いの裏で切り捨てられた「マナーとリスペクト」
何を面白いと感じるかは個人の自由である。しかし、今回の企画にはもう一つ、バラエティー番組として欠けていた視点がある。それは食材と店舗へのリスペクトだ。
環八沿いのラーメン店は、それぞれがこだわりとプライドを持ち、心を込めて一杯のラーメンや食事を提供している。それらを過酷なマラソンを引き立てるための障害物として扱い、限界まで食べさせ、最終的に道路に吐き出す。この一連のプロセスは、店側やラーメンという料理に対して失礼な行為ではないだろうか。
視聴者からも、
《美味しいラーメンをネタとはいえ、こんなくだらない道具に使ってほしくねぇんだよなぁ》
《美味しいラーメンを苦しそうに食べるのお店に失礼な企画》
という声も見受けられた。今回番組に出てきた18店舗のうちの1店舗に取材を試みると、
――番組はご覧になりましたか?
「はい。見ましたよ」
――どのように思いましたか?
「まあ、あんなもんだと思います」
――ネット上では、みなみかわさんが食べたラーメンを吐いたシーンがモザイク無しで映ったことに対し、真心こめて作られたラーメンやお店に失礼なのではないかとの声があがっています。それについてはどう思いますか?
「ああいう企画なら仕方ないんじゃないですか。吐くまでやらせるのはどうかと思いますが。面白いかどうかは人それぞれなので」
と、番組への理解は示すも、吐くまでやらせることについては疑問を抱いているようだった。
昨今のテレビ番組はコンプライアンスを重視することで、尖った企画や挑戦的な企画が減り、視聴者や演者が面白くないと感じることが増えたかもしれない。
そんな中、水ダウは「説の検証」という名目で、新進気鋭の企画やドッキリを放送し人気を得てきた。ギャラクシー賞や放送文化基金賞などの受賞歴もあり、数ある番組の中でも評価されているバラエティー番組の一つと言えるだろう。
しかし、こうした番組側の「攻め」の姿勢を熱狂的に支持する視聴者が少なくない一方で、生理的な不快感を与えない最低限の配慮や、出演者の健康、さらには食材や協力店舗への敬意を重視する視点も、公共の電波を扱うテレビ番組には不可欠であるという指摘もまた重い。
今回の放送を巡る論争は、現代の地上波バラエティー番組における「攻めた笑い」と「不快感やマナー」の境界線、そしてコンプライアンスとどのように向き合うべきかという大きな問いを改めて投げかける形となった。
取材・文/小島ゆう













