豆腐や乳酸菌事業の強化に力を入れるハウス食品

壱番屋の売却を視野に入れたことで、ハウス食品が資本効率の改善に本腰を入れたと見ることもできる。

壱番屋の時価総額は1800億円前後であり、51%を保有するハウス食品の保有株式の市場価値は、900億円前後に相当する。仮に株式を売却すれば、その資金をより高い成長が期待できる事業に振り向けることが可能だ。

ハウス食品は将来的な成長領域として、米国では豆腐事業の収益改善と再成長に取り組むほか、乳酸菌など機能性素材のグローバル展開に注力。カレーはASEANでの市場開拓にも力を入れている。

こうしたハウス食品側の方向性を考えても、壱番屋との資本関係の合理性が従来とは変化しているとの見方もできる

2015年に連結子会社化した際、両社には「日本式カレーを世界に広げる」という共通の目標があった。ハウス食品の海外事業基盤と壱番屋の店舗運営力を組み合わせることには、明確な合理性があったのだ。

しかし、それから10年以上が経過。中国ではハウス食品のカレー事業が成長する一方、ココイチの店舗数は半減した。そして壱番屋は、ラーメンやもつ鍋、ジンギスカン、夜パフェなどをM&Aで取り込み、カレー以外の外食事業を新たな成長の柱に育てようとしている。

10年以上にわたる一体経営を経て、両社にとって最適な資本関係そのものの枠組みが変わりつつあることを示しているようだ。

アニメなどとのコラボも積極的なココイチ。8月31日までは『映画ちいかわ』とのコラボキャンペーンも展開
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取材・文/不破聡 写真/shutterstock