「現金一括ならローン審査がなく、決済も早い」
不動産会社には、犯罪収益移転防止法に基づき、買主の本人確認などを行い、疑わしい取引について届け出る義務がある。本人確認の制度自体はすでに存在している。
焦点は、実際の取引現場で、取引目的や実質的支配者、必要に応じて資金の出所までどこまで確認できるかだ。
「現金一括ならローン審査がなく、決済も早い」と歓迎するだけでは、重要な確認が抜け落ちるおそれがある。
国交省は2022年10月、不動産業者向けにマネーロンダリングやテロ資金供与対策のガイドラインを策定した。その後も、犯罪収益移転防止法上の義務を徹底するよう業界に要請し、2026年4月にはガイドラインを改訂するなど、対策を強化している。
制度は以前から存在していたが、外国人による不動産取得が拡大するなかで、実務面での対応が改めて問われている。
財務省も2026年4月、海外に住む人など「非居住者」が日本の不動産を取得した場合の外為法上の報告対象を拡大した。
だが、これは原則として取得後20日以内に行う事後報告であり、すべての不動産取得について購入前に安全性を審査する制度ではない。
また、外為法上「居住者」とされる、日本に住所を持つ外国人や日本法人による取得は、この非居住者向け報告の対象にはならない。制度は前進しているが、それだけで購入の全体像が把握できるわけではない。
中国側でも動きがある。2026年7月1日に施行された「国務院の対外投資に関する規定」では、企業や組織だけでなく、居民個人も「投資者」に含まれた。
さらに同年8月21日、国家発展改革委員会は、個人による直接の海外投資についても核准や備案などの対象とする「対外投資管理办法」の改訂案を公表した。
現時点では意見募集段階であり、具体的な運用はまだ確定していない。ただ、個人による海外投資についても管理を強める方向性は示されている。













