日本人は中国で土地の所有権を買えないのに…
日本と中国では、土地を持つ意味も違う。中国の都市部の土地は国有である。住宅を買っても、土地について得るのは多くの場合、最長70年の土地使用権だ。
ただし、中国の民法典では住宅建設用地の使用権について、期間満了後は自動更新されると定められている。
一方、日本では外国人も原則として土地の所有権を取得でき、国籍を理由とした一般的な保有期限は設けられていない。売ることも、貸すことも、相続することもできる。
日本人が中国で、日本と同じ意味での土地所有権を買うことはできない。それでも日本は、中国人に対しても原則として日本人と同じように土地所有を認めており、相手国で同じ権利が得られることを一般的な条件にはしていない。
この制度差をどう考えるのかは、外国人による土地取得を議論するうえで避けて通れない論点だ。
もっと注意すべきなのは、購入資金の流れである。中国では、個人が比較的簡単な手続きで購入できる外貨は年5万ドル相当までだ。
中国の国家外貨管理局が公開している個人向け外貨制度の説明では、この枠を海外住宅の購入などの資本取引に使ってはいけないとされている。
一方、日本では、数千万円、時には数億円の物件を中国人買主が現金一括で購入する例があると複数の報道で伝えられてきた。
もちろん、高額な現金購入そのものは違法ではない。正規の事業収入や、すでに海外に保有していた資産などを原資に適法に購入するケースもある。
問題は、出所が確かな金と、説明できない金をどう見分けるかである。高額の現金取引が何件あり、そのうちどこまで資金源が確認されたのか。そうした全体像を示す政府統計は公表されていない。
外貨規制を抜ける手段の1つが地下銀行
日本の会社員が住宅ローンを組む時は、年収や勤務先、他の借り入れ、頭金などを金融機関から審査される。現金一括の買主には住宅ローン審査がない。
この場合、売主には早く確実に売却できる利点があるため、他の買主より選ばれやすいこともある。しかし、現金であることと、資金の出所が適法であることは別の問題だ。
中国の外貨規制を抜ける手段の1つとして指摘されてきたのが地下銀行である。たとえば、買主が中国国内で人民元を仲介者に渡し、仲介者とつながる人物が日本国内に保有する円を売主へ支払う。
こうした仕組みでは、人民元と円がそれぞれ国内で動くため、通常の国際送金とは異なる形で決済が成立する。
英紙フィナンシャル・タイムズは2025年9月、東京で中国人向け不動産取引に関わる4人への取材に基づく推計として、取引の約70%でこうした地下銀行が使われていると報じた。ただし、これは公的統計ではなく、あくまで複数の業界関係者による推計である。
また、地下銀行で動く資金には、詐欺の被害金など犯罪収益が混入するケースもある。日本国内で集められた犯罪収益を別の利用者に円で渡し、その利用者が中国国内で人民元を支払えば、犯罪グループ側は中国で資金を受け取ることができる。
こうした地下銀行と犯罪収益の結びつきは、国際機関などからも指摘されている。
2025年には、日本人からだまし取られた金が、中国人による高級マンション購入の頭金に使われた疑いがあるとNikkei Asiaが報じた。捜査・報道段階の事例ではあるが、日本国内の詐欺被害と不動産取引が、地下銀行の仕組みを介してつながる可能性を示す事例といえる。













