「必ず時刻表が渡され、いつ列車が来るかを頭に入れた上で作業に入る」

しかし、この事故前の作業員らの動きには疑問を感じるという証言者が現れた。十年以上前に今回孫請けのX社の作業員として同じように東武鉄道の線路内で草刈りなどの作業をしたことがあるという男性が、匿名を条件に過去の経験を話した。

「私がX社の一員として草刈りをやった当時は、今回言われているような除草剤を噴霧する方法ではなく、回転式のカッターの草刈り機を使っていました。だいたい数人で作業をしていました。

今回不思議に思うのは、列車が近づいてきたらまず中継見張り員が、次に列車見張り員が作業員らに知らせるシステムになっていることです。私たちの時も当然、見張り員が旗や笛などで列車接近を作業員に知らせていましたが、その前になぜ退避していなかったのかと。

というのは、作業開始前にはミーティングがあり、必ず時刻表が渡され、いつ列車が来るかを頭に入れた上で作業に入るのです。そして、予定時刻の前になれば(列車が見えなくても)退避していました」(男性)

事故が起きた日光線新鹿沼駅の旧上りホーム(撮影/集英社オンライン)
事故が起きた日光線新鹿沼駅の旧上りホーム(撮影/集英社オンライン)

これは原則で、男性が作業をしていた時も完全にそうしたやり方が行なわれていたわけでもなく、列車接近まで作業員が気づかなかったこともあったという。

「一度、列車が遠くから一度警笛を鳴らしたのに作業員が気づかず、接近してからの2回目の警笛でようやく気付いて逃げた、危ない時もありました。

作業中は両手で草刈り機を持つのですが、機械はすごい音がするので呼びかけが聞こえにくい時もありました。足元の刃先と草と線路を集中して見ていて、チラチラと見張り員の方を見て旗が上がっていないか確認しながら作業をしていた感じです。

もし接近に気づくのが遅れると、すぐには逃げられないと思います。機械を両手で持っているので身動きがとりづらいんです」(男性)

それでも自分の命に直結するため、時刻表をきちんと確認し、列車が来る時間を頭に入れていたという。今回の事故では、一部報道で、現場にいた作業員のうち少なくとも一部が時刻表を持っていなかったと伝えられている。これを男性は「考えられない」というのだ。

8月27日、事故現場の新鹿沼駅旧上りホームを歩く作業員(撮影/集英社オンライン)
8月27日、事故現場の新鹿沼駅旧上りホームを歩く作業員(撮影/集英社オンライン)