車で踏切へ向けて移動中だった中継見張り員

事故を巡っては、発生直後に東武鉄道が記者会見で説明した現場の状況が、実際のものとは違っていた疑いが出ている。

事故当日、新鹿沼駅周辺では除草作業のため東武鉄道から仕事を受けた元請けの東武建設(栃木県日光市)の社員2人が、同社から発注された孫請けのX建設が手配した5人に作業を指示し、それを確認していた。この計7人が除草作業にあたっていた。

さらに、列車接近を知らせる担当として、いずれも宇都宮市内にある警備会社Y社とZ社から派遣された計3人の見張り員が事故現場周辺に上下線に分かれて配置されていた。この3人の見張り員のうち2人の位置や行動が焦点になっている。

事故後のスペーシアXと作業員(地元住民提供)
事故後のスペーシアXと作業員(地元住民提供)
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事故は現在使われていない上り線旧ホームの脇の線路上で、ホームに上がるのが遅れた4人が列車に接触したとみられている。この上り線では事故現場から約315メートル手前の踏切に『中継見張り員』が、同約80メートル手前に『列車見張り員』が、それぞれいたと東武鉄道は会見で説明した。

「いずれも列車が近づけば黄色い手旗で知らせ、作業員の退避を確認したら列車に向け同じ黄旗を示して進入可能を意味する“列車接近了解合図”を示すのが役割でした。

ただ、会見で東武鉄道は、中継見張り員は所定の配置場所にいたが『(事故の前に列車見張り員と)意思疎通が取れない状態にあった』と話していると説明しました。

さらに列車運転士の話として、現場の約215メートル手前に差し掛かった時に、列車見張り員から、列車接近了解合図が手旗で送られてきたと話していることも紹介しました。しかし実際には作業員は退避しておらず、この合図がなぜ出されたのかが謎となってきました。

ところが今週になって、事故車両のドライブレコーダーの分析によって、踏切付近にいたとされていた中継見張り員が映っていなかったことが分かりました。

実は中継見張り員については東武鉄道は最初、事故時に『車で踏切へ向けて移動中だった』と説明しましたが、会見中に『踏切に到着していたが意思疎通が取れない状態だったと本人が話している』と説明を変えています。実際には最初の説明の方が実態に近かった可能性があります」(社会部記者)

事故から1週間経った8月27日、現場近くに供えられていた花(撮影/集英社オンライン)
事故から1週間経った8月27日、現場近くに供えられていた花(撮影/集英社オンライン)

どちらにせよ、もう一人の列車見張り員も列車に誤ったサインを出した疑いがあり、上り線の見張り員2人の行動の解明が事故原因究明の鍵になるとみられている。