6年間で円の国際的価値は4割近く失われた

高市政権は台湾有事という、これまでタブー視されてきた問題にも積極的に踏み込んだ。国家観として評価する向きもあるだろう。

しかし、その一方で、田中角栄元総理が日中国交正常化を果たして以来、半世紀以上かけて築いてきた中国との経済関係を転換するのであれば、その経済的コストまで含めて国民へ説明する責任があるはずだ。

さらに、今回の骨太の方針ではAI、半導体、防衛、GXなどへの成長投資が大きく打ち出された。その方向性そのものを否定するつもりはない。

しかし、「責任ある積極財政」と言う以上、その政策が期待した成果を生まなかった時、誰がどのように責任を負うのかまで語られなければならない。

さらに深刻なのは円である。この6年間で円の国際的価値は4割近く失われた。分かりやすく言えば、6年前の1万円は、海外では今や6000円程度の購買力しか持たなくなったということである。

いまや外国人には"5割引きの国"に…「日本は巨大なドン・キホーテになった」円安ニッポンへの警鐘、「責任ある積極財政」の責任は誰が取るのか_3

海外旅行へ行けば、その現実を嫌というほど思い知らされる。100ドルを両替するだけでも、手数料まで含めれば1万5000円近くになる。

とにかく安い日本の「ドン・キホーテ二乗現象」

いまや日本そのものが巨大なドン・キホーテになってしまったのか
いまや日本そのものが巨大なドン・キホーテになってしまったのか

反対に外国人旅行者から見れば、日本は円安だけで4割引き、さらに免税まで加われば体感的には5割引きの国である。今や彼らはドン・キホーテへ安い買い物をしに来ているのではない。日本そのものが巨大なドン・キホーテになってしまったのである。

そして、その巨大なドン・キホーテの中で、さらにドン・キホーテへ立ち寄り、免税で買い物を楽しむ。私はこれを「ドン・キホーテ二乗現象」と呼びたい。

笑い話のように聞こえるかもしれない。しかし、笑っている場合ではない。4割引き、いや免税まで加えれば5割引き。その値札が付けられているのは家電でも化粧品でもブランド品でもない。日本という国そのものなのである。

それにもかかわらず、政府は新NISAを積極的に推進し、企業へ補助金を投入し、株価は史上最高、税収は過去最高だと成果を強調する。しかし、それらは円安によって押し上げられた「見かけの繁栄」に過ぎない。

私は以前から、日本株はいまや「砂上の楼閣」の上に築かれていると申し上げてきた。