息子の存在が「国会議員・野田聖子という存在も変えた」
野田さんは長年自身のブログにて、国会議員としては愚直と思えるほど喜怒哀楽を素直に綴り続けている。息子の真輝さんのありのままの日々も公開し、多くの方から反響があるが、そこには明確な考えがあるという。
「(息子は)マイノリティな存在なので、理解されにくいことが多くあると思います。しかし、息子の日々を載せることで誰かに元気や勇気を届けられるかもしれない。ブログを通して何かのきっかけになればと思っています」
実際、真輝さんの存在は多くの人に影響を与えている。障がいのある子どもを持つ親から「励まされた」とメールをいただくことも。
一方で、誹謗中傷のような内容のメールが届いたことがあったという。
「心無い言葉に傷つくこともあります。息子は日々をただ生きているだけなのに。でも、息子の毎日が誰かを励まして元気を与えることもある。2011年の震災の年には自殺を考えていたという人から『自分も頑張らなければ』と連絡をもらいました。普通の国会議員以上に役に立っているとさえ思いました。
たいていの人は、政治家の野田聖子を見ても励まされたとは思わないでしょうから。息子の存在は誰かのためになっているんです」
2021年に成立した医療的ケア児支援法の制定時には、真輝さんの写真が国会資料として使用された。
「法律の提案者から『医療的ケア児のイメージを厚生労働委員会の委員に知ってもらいたい』と依頼されました。ある意味見世物になるわけですから、普通のご家庭なら躊躇して当たり前でしょう。でも、『世のため人のためだから』と夫と相談して提供しました。
人工呼吸器と胃ろうケアがわかるように、パンツ一丁の状態の写真です。『気をつけ』のポーズを取らせて撮影しました。人様に見られるわけですから、おしゃれなパンツを身に付けさせてね(笑)」
真輝さんの存在は、野田聖子という人間を親に変えただけでなく、「国会議員・野田聖子という存在も変えた」という。
「彼が生まれたことによって、最強の国会議員になったと思います。彼と生きることによって、私の知らない新しい知識を身につけることができたのですから。
当事者の家族になると毎日が命がけだから日々身体のことや医学知識を勉強する。おかげで、医療の専門用語を知ることができて、お医者さんが何を言っているかも理解できるようになりました」
医療畑の議員ではなかった野田さんだが、真輝さんのおかげで医療関係者に重宝される存在になったという。「シリンジ(注射器)」など、インタビュー中にも医療用語が自然に登場していた。